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レッドアームファミリー/俺たち無法者、なぜか正義の味方やってます  作者:
第一章 知ってる景色と知らない心
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機械は夢を見ないし夢を持たない

その夜、明日の段取りを決めるために分かれて少し打ち合わせすることになった。

ジンとテュールの二人組、マッドを除いた残りの三人組だ。マッドは学者に会い交流することを目的としているようなので個別で動くことにするようだ。

ピースはその様子を見ながら完璧に形成されてはいない人格を用いて思考する。自身は生まれた瞬間すら記録として残っている。それなのにあの星から辺境の廃棄場所に送られたことは理解ができない。航路を設定したのは自身を作ったマスターだろう。自身を不要に思ったのだろうか?形成している人格はそれに怒りや不満を漏らすといった反応が組み込まれている。しかし、本当の意味でその感情を理解していないピースにはただ単にシステムが弾き出した演算通りにその表現をするだけであった。

バルトリカは問題なく目的地に向かっている。窓からマザーKの表面が見えるようになる。

最先端技術が揃っているだけあり、今までの惑星に比べて人が住んでいる雰囲気が遠くからでも伝わってくる。窓にくっついてテュールが驚きの声を上げる。

「明るいよ!とっても綺麗」

「ただの人工的な光だろ」

二人の会話を聞いて、残りの四人も窓に近づいてくる。

「あー戻って来ちゃったっスねぇ」

「確かに、今まで巡って来た星に比べると明るいですわね」

「バジリスは基本的に砂と岩しかない荒野でしたからね」

「コスタコは、人工、だったから、除外」

テュールにとって人々が多く暮らす星というのはここが初めてになるのだろう。

「ねぇジン、あんなところで召喚首なんて見つかるの?」

「賞金首だ。黒魔術でもするつもりか」

テュールのうろ覚えな言葉にツッコミを入れた後、ジンは答える。

「人が多いだろ。研究者や技術師が多い惑星かも知れねえが、一般人だって多く沢出るわけだ」

テュールがうんうんと頷いて話を聞いている。

「木を隠すなら森の中って訳だ。人が多いところに上手く馴染めたら後は自然に暮らすだけさ」

「何で木なの?自然に暮らすって言ってもどう見ても緑少ないよねあの星」

「お前なあ、例えだよ。た、と、え、分かるだろそれくらい。お前の腕は偏った知識しか渡してねえんじゃねえか」

二人の会話にマーガレットが割り込んでくる。

「ジン、明日テュールを連れて行くのは構いませんが、二日目はテュールの腕について見てもらいますので、そのつもりで明日のやることを終わらしてくださいね」

「任せとけ、まあとりあえずもう寝るか」

その場で六人は解散し各々部屋に戻り明日の朝を迎えることにした。

ピースはなおも考え続ける。

彼等はマザーKを見て明るく綺麗だと評した。ピースにはそれが分からない。綺麗だと言われそれに対して共感の反応を示すことはできるが、無の状態から対象を綺麗と言うのはできない。ピースは自身の中の解明できない部分にすら疑問も謎も抱かなかった。

抱かなかった。

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