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レッドアームファミリー/俺たち無法者、なぜか正義の味方やってます  作者:
第一章 知ってる景色と知らない心
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暇なら休息を

バルトリカが作られた場所に向かい始めて三日が経った。

「まだ着かねえのか」

テュールとナタリアとオリヴィアがトランプで遊んでいる。その横でマッドは読書をしている。文字が小さいせいなのか眼鏡をかけている。ジンは昨日購入したライフルを眺めながらマーガレットに問いかける。

「まだです。明日の朝には着くそうですが、、、それ持ち歩くつもりですか?」

ジンは待ってましたと言わんばかりのドヤ顔で返す。

「こいつは真ん中の部分で半分に切り離すことができるんだ。半分にした二つのパーツを腰につければ邪魔にもならないし目立ちもしない。そろそろ新しい装備で賞金首を捕まえたいと思っていたんだ。名前はミリアに決めた」

マーガレットはうんざりしたような顔でジンに言葉を返す。

「それ普通に目立ちますよ。名前を付けるのは結構ですけど、一々使うときに名前を呼ばないでくださいね。鬱陶しいので」

「怖いねえ、ミリアはあんな怖い人になっちゃだめですよー」

「それは銃なので人にはなれませーん」

二人がだらけながら話しはじめたところでトランプをしていた組から大きな声が聞こえてくる。

「これでアタシの8連勝っスね。賭けるもの無くなってきたんじゃないっスか」

「うーん、これ難しいね。僕は明後日のおやつ賭ける」

「むー、私は明日のジュースを賭けますわ」

マーガレットとジンが慌ててやってくる。

三人に船内での賭け事は禁止であることを伝える。友情に亀裂が入りかねないことはすべきではないと説得し、賭けの内容をすべて白紙に戻させたのだ。

『ちなみにナタリアはイカサマをしていたようです』

ピースの一言でその場は騒然とする。三人の中で一番年上でありながら賭博行為を提案し、イカサマをしていたことは中々に罪が重い。夕飯の後の片づけと部屋の掃除で許すことになるまで一時間ほど話し合いが続いた。マッドはその間ずっと読書しながら時折騒いでいる方を向いて微笑んでいた。

「ねえジン!今日は夕飯僕と作ろうよ」

「えー、まあ、いいけどよ」

「私も手伝いますわ」

「私も、、、」

「「「マーガレットは料理しちゃダメ」」」

全員から拒否されたマーガレットも黙ってはいられない。

マーガレットが反論し始めるとカウンターが飛んできた。

「数日前にまともな生活が始まった僕の方が料理できるのおかしい」

「レシピをちゃんと読んでくださいまし」

「二度と意識は失いたくないからなあ」

矢継ぎ早な総攻撃にマーガレットがすぐに折れ、テーブルの支度をすることになった。

今日の料理はテュールが知識を引っ張て来て作ってきたもののようだ。

「ラザニアっていうらしいよ」

「随分と作るのに苦労したぞ。食材は似てるものをテュールが選んだが合ってんだろうな」

「多分うまくいくはず、後は層にして焼くだけだよ」

「美味しそうですわ」

「マッドがいれば色々と相談できるんだけどなあ。せっかく手伝ってくれるって言ってくれたのによ」

「なんでも頼ってばっかりは駄目ですわよ」

「僕たちだけで作らないと」

完成したラザニアを食卓に持っていく。

マーガレットは部屋の隅で料理の本を読んでいる。

ナタリアとマッドは席について談笑しているようだ。

「あっ、来たっス」

「香り、すごく、良い」

ラザニアを取り分けて各々が席に座る。マーガレットはまだ料理作りから外されたことを拗ねているのか部屋の隅っこにいる。ジンが呆れた顔をしながら声を掛けに行く。

「マーガレット、食事の時間だぞ。ガキみたいに拗ねんなよ」

「別に拗ねてませんし、ガキじゃありません!」

そっぽ向きながら席に着く。ラザニアは成功しており全員が満足していた。マーガレットも口に含んだ瞬間さっきまでの雰囲気は嘘みたいに嬉しそうな顔で食べている。食べながら目的地についての話を始める。

「目的地の名前ってなんだっけ」

「マザーKです。ジン、この会話するの二十回目くらいですよ」

「ファザーKはないのか?」

「ありません、、、、この会話は四十回目です」

『厳密には38回目です』

「だとよ、エリア長が間違えてやんの」

「誤差じゃないですか。ところでピースはなぜ突然来たのですか」

『マザーKの話はそろそろしておいたほうが良いと演算結果がでましたので』

「マザーKって最新技術の開発が行われてるところっㇲよね」

「学者、集まる、宇宙、便利になる」

『大体はその通りです。追加で捕捉すると個別で企業と契約を結ぶこともあります。その場合は契約に沿って開発されたものが独占的に提供されます。』

「じゃあお金を持った星が均衡を崩してしまうのではありませんの?」

「そうなったら問題ってあるの」

テュールの疑問にジンが答える。

「俺様たちがとやかく言えることではないが、この世界はバランスで成り立っているんだ。どこかの星が力を得て傾いてしまえば均衡は崩れる。均衡が崩れればすべての星が独自のルールや特徴を持つことはできなくなる。俺様たち無法者からすればそれはありがたい場合もあるかもしれない。ただな、世界から面白さってやつは失われるだろうよ」

テュールは難しい顔をしながらジンに言われたことを考えている。

マーガレットはそんな光景が微笑ましいのか笑っている。

ナタリアが少し悩みながら発言する。

「実は、前にマザーKにいたことがあるっス」

その場にいた全員が一瞬驚いた顔を見せるがすぐに彼女の装備を思い出し納得したような顔をする。

高出力のビームをアッパーカットする装備は、おそらく銀河中探しても見つからない。つまりはマザーKから生まれたものとしか考えられないだろう。

『オリヴィア、安心してください。宇宙の均衡を崩す開発品は契約も結ばれず保管されて外には出ません。ナタリアのようなイレギュラーを除いては』

「アタシの技術は均衡を崩すほどではないんスけど、強力であることに違いはないっス。なんで簡単に誰かに着せたり設計図を漏らすことはできないんスよね。これはマザーKで作ったものについての絶対的なルールっス」

「だからあの時俺様に着させてくれなかったのか」

「あれはジンさんがエッチだったからっス」

オリヴィアとマーガレットが怪しみながらジンを睨む。

「おい!ナタリア適当なことを言うな!」

『明日マザーKに着きましたら私をチップに入れますのでそれをもって私を作った父に会いに行ってください。』

「まあこうゆうのはマーガレットとナタリアとオリヴィアでいいだろ」

「「「なんで」」」

「いや、俺はテュールに賞金稼ぎのやり方を教えるし、マッドは個別で学者と交流したいらしいし」

「学者!!!会いに!!!行く!!!」

「最近妙にテンション高いと思ったんスよねえ」

ジンの決定に渋々三人は了承する。

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