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レッドアームファミリー/俺たち無法者、なぜか正義の味方やってます  作者:
第一章 知ってる景色と知らない心
15/135

いつもの日常〜頭痛が痛いよ

15話目です

六人揃ったのか

随分と早い

いや予定より少し早いだけか

まだここには来ないだろう

我ら一族の願いは

この世界の調和だ

後少しで叶う

全ての過ちを清算し

未来に歩めるようになる



オリヴィアがベットで目を覚ます。起きてすぐに昨日のことを思い出し泣きそうになるのを我慢する。

「どこにも属せない、、、そんなわけありませんわ」

オリヴィアが服を着替える。ここ数日で多くのことがおき、ある意味では充実して楽しめていたせいなのか昨日のジンに言われたことが上手く消化できていない。ふと部屋の窓から外を見るとすでにどこかの星についているようだった。一体何時間ほど寝ていたのだろうかと自問する。彼女は昨日どうやって寝たかも覚えていない。胸にブローチをつけて部屋を出る。食事スペースから声が聞こえる。自分はあそこに行ってもいいのか少し不安に思う。もし、拒絶されたらどうすればいいのか彼女には分からない。昔なら逃げて隠れたらいいだけだった。けど今回はそうはいかない。ずっと部屋にこもってることはできないのだから。

オリヴィアは挨拶をする。

「おはようございます」

全員が手を止めてオリヴィアを見つめる。ただ見られているだけのはずなのにオリヴィアにはその瞬間が永遠に感じる。彼らと関り初めて怖いと感じる。しかし、そのような気持ちは杞憂に終わった。

「おはようっス、オリヴィア!マッドが昼ご飯作ってくれてるっス」

「一応ノックしたのですが起きなかったので先に食料だけ買いに行ったんです」

「おはよう、初めての買い物だった。後で服を買いに行くつもり」

ジンは顔を合わせてくれない。彼だけはまだ怒っているのだろうか。

しかし、ジンは心の中でこんなことを考えていた。

(ここで謝ってもマーガレット以外は、いきなり何言ってんだこいつになるしなあ、二人の時に謝ればいいが、、、けど昨日泣かせちまったしなあ、顔合わせるの気まずいな)

あまりしっかりと人と関わってこなかったジンには、喧嘩した後の仲直りというのが難しいようだ。

『ジン、脳波に悩みの波形が出ています。メンタルケアを開始しますか』

「バカ言うな。仮に開始したとして、なんでこいつらの前でメンタルケアなんてしなきゃいけないんだよ」

そんなやり取りをしていると、マッドが料理を運んでくる。

「マドラドラの蒸し焼き、作った、食べて」

各々が料理を皿によそい始める。

オリヴィアはジンの横の席しか空いておらずそこに座る。

テュールがジンをじっと見つめている。

「どうした?テュール」

「髭がない」

確かにジンの髭はきれいに剃られている。

「ん?ああ、この町着いたときに剃りに行ったんだ。色々ごたついててそれなかったしな」

「似合ってる」

「そんなこと平然と言うな」

「なぜ怒ってる?」

「ジンはきっと恥ずかしいんですよ」

不思議そうな顔をした後にテュールはよそったマドラドラに下品にかぶりつく。見かねたマッドがきちんとした食べ方をナタリアと一緒に教えている。

横にジンが座っていて緊張しているのかオリヴィアは皿に料理をよそえていない。しかし、ジンは無言でオリヴィアに料理をよそってあげる。

「、、、ありがとうございますわ」

「ん?ああ」

二人はマドラドラを食べる。

まるごとの蒸し焼きなので見た目は少しグロイのだが味はとても美味しく二人とも驚く。

「こりゃ食べやすいな。骨が一本の生物か。食感も噛み応えあってうまいな」

「美味しいですわ。マッド、ありがとうございます」

マッドは嬉しそうに笑う。

「食事は楽しいものなんだな。初めてが君たちで良かった」

テュールが笑いながら話す。

「オリヴィア!テュールはどうなるんスか?」

ナタリアが疑問に思ったことまくしたてる。

「アタシは技術屋だし脱獄してる身なんでこのままこの宇宙船に居候させてもらえるとありがたいっスけど」

「マッドも、ここ、いたい」

「そっちは三人でここまで旅してたんスよね。仲間にしてほしいっス」

マーガレットが食べ物を飲み込んで慌てて開く。

「もう乗員登録してしまいましたけど、改めて聞かせてください。何の罪で投獄されていたんですか」

あそこに入れられるものは、大なり小なりとんでもない犯罪者ということに変わりない。

マッドとナタリアが顔を見合わせる。

「アタシは技術者としていろいろな星を転々をしながら片手間にヒーロー活動してたら、ある惑星の法律に引っかかって捕まったっス」

「俺は、、、」

マッドの言葉が詰まる。ナタリアは何か知っているようだ。三か月も同じ房にいれば流石に話しているのだろう。言葉を発しないマッドに変わってナタリアが答える。

「えっと、ちょっとすぐには言えないことなんスけど、マッドは良い奴であることは保証するっス」

少し大げさに動くナタリアにマーガレットはため息をつきながら答える。

「分かりました。この二日ほどで人柄も分かっていますので無理に話せとは言いません。私の船の仲間になるということを受け入れましょう」

マーガレットが食事に戻る。

「俺様は一時的な仲間だ。この仕事が終わったら抜けるぜ。後、この船を見つけたのは俺様だ。俺様の船だ。全部終わったらこの船はもらう」

ジンはマーガレットの発言を訂正する。ナタリアとマッドは残念そうな顔をする。

「えーーージンさんいなくなるんスかあ。こんな良い船を独り占めなんてずるいっスよ」

「さみしい、ジン」

『いい船、褒められてしまいました』

「うるさーーい、先の話で今くよくよするんじゃないよ。大体お前らは何が気に入って俺様達と一緒にいたいんだ」

「うーん家族みたいで楽しいっス」

ジンはめんどくさそうな顔をしながら、

「よくそんな恥ずかしいこと言えんな」

ジンの言葉を無視して、ナタリアがオリヴィアに思い出したように話しかける。ジンは勢いをいなされたように感じガクッと肩を落とす。

「オリヴィア、テュールの件なんすけど」

オリヴィアは返答に困る。

「えっと、、、」

そんなとき、ジンが代わりに答えた。

「先のことなんてのはいまいち分らんが、しばらくは仲間だ。道中楽しめばいいんじゃねえか?今はそれで十分だろ」

ナタリアも何かを察したのか納得したように返事をした。

肝心のテュールはというとマンドラドラの骨に嚙みついている。

「テュール、その骨、食えない、太いから」

マッドがそういうとテュールはまた不思議そうな顔をしながら聞き返す。

「マーガレットは骨ごと食べているよ?」

一同がマーガレットの方を見る。彼女はサイント族特有の歯でマンドラドラの太い骨をかみ砕きながらクッキーみたいに食べている。全員その様子を黙って見つめているとマーガレットは視線に気づいた。

「なんれふか?」

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