走っるのもへっちゃら2
周辺を調査していたジンはブレイドを量子リングに戻す。
「敵の本拠地だってのに不気味な程に戦何もないな、、、生配信だったら視聴者が離れていくぜ」
独り言を呟きながらサナリアとなるの元に戻る。
「多分こっちだ。そろそろ行けるか?」
「はい」
「うん」
ジンは立ち上がり彼の方に近づく二人を制止する。
「何か聞こえないか」
「特に」
「なんも」
ジンは耳を澄ませる。
そしてある方向の壁を見つめる。
次の瞬間壁が弾け飛ぶ、飛んできた瓦礫をブレイドで弾き飛ばしながらジンは二人を守る。壁の裏からは大きなモグラのようなものが出てきた。
「マジか!走れ!」
三人は走り出す。
「あれなに」
「ちょっと待ってろ」
ジンはナタリアが作ったメガネをかける。
「あれは、、、ワームモールだってよ。この星の生命体か?」
ジンの疑問にメガネに文字が浮かび上がる。
『厳密にはペットとして飼われていたものを飼えなくなり沢山の星に向けて捨てたケースが多く記録されています』
「つまり小さい頃は可愛かったって事だな。知能レベルは?」
『個体によって様々です』
「有意義な情報だな。問題は何も参考にならないことくらいか。個体の年齢はざっくり分かるか?」
『様々です。一様に大きくなるわけではなく、同じ母体からでも生まれて数年で巨大になるものもいれば、数百年生きても肩に乗るサイズのままのものもいます』
役に立たないメガネをポケットにしまい走る。
ネルは大声でジンに問いかける。
「あれ何なんだし!」
「可哀想な捨てられたペットだ」
「ジン、倒せるの?」
サナリアの質問にジンはチラッと後ろを見て前を向き直る。
「俺が保健所の職員なら倒せたかもな」
瓦礫を飛ばしながらジン達を追いかける個体は興奮しているようだ。
「ジンさん、神様の力でどうにかできないの?」
「実は俺、不殺の誓いってやつを、、、」
「ふざけてる場合?ジン、真面目にお願い」
「俺もできるならズバッと決めたいが刃が通らなかったら死ぬだろ。咥えられてそのまま消化されたらどうするんだよ」
「ジンさんの身体もピースさんほどではないけど最先端なんでしょ?」
「構造的には千年前の最先端だから色々と古いし、俺のボディはあくまで人間的なつくりだ。ピースとはわけが違う。人間の皮膚が消化されて骨も消化されるなら俺も例外じゃない」
「千年前って?」
「こっちの話だ。晴れてチームに入れたら教えてやる」
「ちょっとジン!私はまだその件について認めてませんからね!後、二人とも疲れないんですか?ジンはともかくネルは?」
ジンがチラッとネルの方を見ると息切れどころか汗一つ流さずに走っている。
「裏で鍛えてたから」
「、、、そうなの?」
「俺に聞かれても、とにかく、、うわ!」
ジンが横に意識を割いてる内にワームモールの触手に足が引っかかる。
「このやろ!」
ブレイドを出して触手を切る。
凄まじい雄叫びが空間に響き渡る。
音圧で三人は膝をつき耳を塞ぐしかない。
「めっちゃ耳痛い!取れてないよね?」
「なんてぇ!聞こえないぞ!」
「ネルがワキガだって言ってます!」
「言ってないし!」
「流石にうるさすぎる!二人の眼の力で楔を打てないか?」
二人はジンが何を言っているのか聞き取れない。
ジンは必死にジェスチャーする。
「、、、パンツー丸見え?こんな時に何を伝えてるんですかジン!」
「違うよサナ姉、あーしらの眼を合わせるんだよきっと」
ワームモールに向き直り二人は耳を押さえながらヘルゲートの眼を発動させる。
次の瞬間ワームモールは叫ぶ事をやめ大きな体を震えながらも止まった。