運命力2
本来ならフォルトゥナに頼ってすぐに地上に向かうはずだったのだがそうもいかなくなった。
「別に揉めてません。嘘つかれただけです」
メイリンの言葉は少し刺々しい、
「弁明はあるのかい、ラハユくん」
フォルトゥナの言い方に苛つきながらもメイリンのために答える。
「いや、僕が騙したのは事実だ」
ラハユは素直に認めるがメイリンは許さない。
「フォルトゥナさん、おバカにも分かるように言わないとダメですよ」
ラハユに向き直りながら続ける。
「なんで騙したのか聞きたいんですよ」
「バカって言ったかい?!」
「バカとは言ってません。おバカって言ったんです」
「また子供みたいなことを言って、、、」
「バカにされたくなかったら早く理由を言ってくださいよ。おバカさん」
メイリンは煽るように言う。ラハユはその怒りを受け止めて仕方なく答える。
「、、、母さんがいる気がするんだ。だから会ってみたかったんだ」
その言葉をメイリンは全く信頼していない。
「また嘘ですか」
「嘘じゃない」
「信じられません」
二人の会話が不毛であると思い、フォルトゥナは止めに入る。
「お互いがどうしたいかじゃないかい?」
「「えっ?」」
二人はフォルトゥナの顔を見る。
「ここで別れたいならそうすればいい、けど二人とも言い合いをしているように見えて、実のところどちらも片方についてきて欲しいようだね」
二人は同時に否定する。
「そんなことない!こんな可愛らしいだけの猪突猛進女子なんか」
「そんなことありません!こんなカッコいいだけの詐欺師なんか」
二人は目を丸めて見つめ合う。
「可愛らしいなんて、、、そんなの恥ずかしいですよ」
「カッコいいと正面から言われると恥ずかしいな」
フォルトゥナは二人の様子を見て勘弁してくれと頭を抱える。
「ここから一番深い部分に行っても脱出は間に合うはずだ。行ってみたいなら行ってみるかい?」
「道は分かるんですか?」
「来た道を帰ってさらに帰るだけさ」
フォルトゥナは二人を連れて歩き出す。
一瞬緩んだ両者の間の空気はまたピリつきフォルトゥナに着いていく。




