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もう一つのタイムリミット1

マッドは如意棒を持ちながら穴の空いた地面の奥深くを眺めている。

「時間がないので強行手段を取ったが、解決できるだろうか」

彼は自分が叩いて壊した地面の先で仲間が分かれていることを知らない。

呟いた瞬間、横から声がする。

「神というのは相変わらず独り言が多いものだのお。自分でも嫌になるわ」

マッドは急いで後ろに飛び距離を取る。

「一番乗りは儂のようだな」

ゴクウは言葉の主をじっと見つめる。同じ神だとしても名前はそうそう早く出てこない。

「、、、お前は韋駄天か?」

「久しぶりだなゴクウよ」

「もうちょっと時間かかると思ってたぞ」

韋駄天がその気になればサナリア達は即死するだろう。そんなことをマッドが考えると同時に頭の中にもう一つの考えが生まれる。

(いや、人の進化というものも侮れないか。韋駄天とジン、どっが速いんだろう)

「なあに、心配するなスサノオが来るまでは動かんよ」

「アンタの動かない程信用できない事はないな」

マッドは如意棒を持つ手に力が入る。

韋駄天は空を見つめながら続ける。

「力を入れるなゴクウよ。敵意があると取るぞ」

韋駄天の目には確かな(プレッシャー)がある。

「悪かったよ。他の奴らはいつ来る」

「もうすぐじゃよ。神としての力を使ってくるものもおれば人の技術でくるものもいるだろう。到着にそこまで差は出んはずじゃが。ゴクウ、おぬしらが望んだ世界だぞ、もう少し知識を、、、」

「あーあー分かったよ。それヘラクレスにも言われた。けど俺は俺でやってけてるからいいの」

韋駄天は呆れたように話す。

「よく言うわい、おおよその到着時間も分からず時間を無駄にしていたという所じゃろう」

図星だったためマッドはブツブツ言って誤魔化している。その横で韋駄天は横になりポケットからゲーム機を出してプレイし始めた。

「何やってんだ」

「ゲームだ」

「いや、なんでかって」

「暇だ。早過ぎる者の悩みだな」

「なんだよそれ」

マッドがため息をついて座り込むとそれを横目で見てから話し始める。

「お前さん、スサノオと殺し合うつもりか?」

「、、、なんでそうなる」

「スサノオが激怒していたぞ。お前が甘すぎた故に()(かた)が目覚めるかもしれない、とな。事実か?」

「、、、ああ」

「そうか」

「怒らないのか?」

「儂らは長く生きすぎた。その点においては死んだとしても何も思わんわい。お前の甘さによって人間達の自由を奪うというのは情けない話だと思う。しかし、それは人が怒るべきことだ。儂が怒ることでもなかろう」

マッドがその言葉を受け止めて考えていると韋駄天が空を指さして話す。

「来たぞ」

大気圏を抜けた宇宙船および生身で飛んできた神々が見え始める。

「数減ったか?」

「おぬしらが時代の切り替えで減らしたんじゃろうが」

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