尋問はできませんが、質問はできます3
その言葉にネルは考えさせられる。
信じてきたものが全部ウソ、それは普通の人間なら経験することのないモノだろう。
ネルがいくら考えたところで答えは出ない。
「ごめん、サナ姉」
考えなしに話したことを素直に謝罪する。
サナリアはネルを抱きしめて頭を撫でる。
その横でピースは伸びをしている。
「じゃあ、尋問は私の番ねえ」
行こうとするピースをジンが引き留める。
「ピース、お前は無しだ」
「どうしてよお?」
「いや、拷問器具みたいなの出しながら行こうとしたら誰でも止めるだろ、マッド」
「分かった!」
マッドは元気よく返事をしながらピースを担いで扉から遠ざける。
ピースはあらあらと言いながら特に抵抗はしていない。
ソジュンはナタリアに質問する。
「翡翠に変化する仕組みはなんなんだ?」
「んー分析結果だと原子構造を変化させてるみたいっス」
「可能なのか?」
「まあ、神骸由来なんでそこはどうとでもって感じっスね。バリアまで変化させたのは驚きっスけど」
「ねえ」
ジンは付け加えるように話す。
「それにおそらくあいつは選司だ」
ソジュンは更に質問する。
「神骸は大体わかったけど、せん、、し?それなんなんだ?」
仕事と割り切っているのか、ジンに対しての嫌悪をだいぶ抑えているようだ。
「神骸は基本的に適合しないと使えない。だが稀に完全に適合する者もいる。俺も一応選司だ」
「ねえ」
「選ばれ、司る、強い、力も、神、匹敵する」
「ジンさんは強いんですね!憧れます!」
「ねえってば!」
ようやくネルが呼びかけていることに気づく、
「あれ、まじヤバくない?」
ネルはマジックミラーの方を指さしている。
全員が目を向けると抑制リングが翡翠になりかけている。
「ナタリア!どうなってんだ」
ジンの声にナタリアが反射的に答える。
「多分、抑制成分をゆっくりと全て翡翠に変えられたっス。それ以外考えられない、、、、そんな事あり得るんスかね」
「話はあとだピース!今すぐあいつを船外に射出しろ!バルトリカごと翡翠にされたらたまったもんじゃない!」
返事より先にピースはマジックミラーを突き破ってラハユを掴みそのまま最短ルートで壁を壊しながら船外に到達する。他のメンバーは急いで後を追う。
マッドは軽く拳を握り、ゴクウの力を解放する。
ジンが先行して船外に飛び出す。
「僕は、君たちを許すつもりはない」
ピースは距離を置いて立っている。片腕が翡翠になってしまっているようだ。
ナタリアがすぐさま近づきながら強化スーツを着る。
「アーマード」
そのままジンとマッドより前に出る。
「ナタリアさんも戦えるの?」
サナリアの驚きの声にナタリアは自信満々に答える。
「はっはっはっは、久しぶりに来たさ!ダイマーーーーナイト!!!!」
ダイマナイトはポーズを決める。
ネルやソジュンたちは頭を抱える。
「なんだよあれ、、、」
「ちょっと、、、」
「ジンも震えてる。怒ってるわよ」
「そうですか?私はカッコいいと思います!」
ジンは肩を震わせながら呟く。
「相変わらず、、、カッコいいじゃねえか」
「「「えっ」」」
メイリンだけは賛同するように頭のお団子を振っている。
そんななか、ネルだけが気づく、
(アレ?マッドさんはどこ行ったんだろう?)
気づけばジンの横に立っていたマッドはいなくなっていた。
しかし、今は眼の前の戦いだ。
「おいダイマナイト!策はあるんだろうな!」
「もちろんだ!あれからあらゆる対策機能をこのスーツにつけた!正義のヒーロー推して参る!」




