尋問はできませんが、質問はできます2
二人はラハユの前に座る。
サナリアが口を開く。
「妹たちはどこなの?」
「君たちがさっきから何を言っているのか僕には分からない」
サナリアが眼を赤くする。
「嘘はついてない」
「父さんは何もしてない。君たちがこのリゾートを荒らし回ったんだろ」
腕を組み壁にもたれかかっていたジンが質問する。
「たとえば?」
「人を殺しただろう。記録で見させてもらった死体をどこに隠したかは知らないが犯罪だ。それも大人数で、、、」
ラハユは眼を逸らして床を見る。
ジンがサナリアに目配せをする。サナリアは首を横に振る。
(嘘はついてない、、、)
「何を勘違いしてるが知らないが俺たちは人を殺してない。あれは俺たちの知り合いの偽物だ」
ラハユは顔をあげて睨む。
「君たちはその言い訳は苦しいと思わないのか」
ラハユからすれば確かに信じ難いだろう。映像として見ているのであればなおさら、ジンは頭を掻きながら質問を続ける。
「あの翡翠の力はなんだ?」
「あれは生まれた時から僕にあったものだ」
「お前いくつだ?」
「今年で二十歳だ。物心ついたときからこのリゾート地を守ってきた」
「、、、そうか」
ジンはサナリアを連れて尋問室を出る。
全員が待機している方の部屋に戻ると騒がしくなっていた。
「巻き戻しっス」
ナタリアがピースにホログラムで映し出している映像を戻すように指示してる。
「もう、ナタリアちゃんちょっと人使いが荒いわよ」
メイリンはその映像をを見て感心している。
「はえー有名人さんなんですねネルさんとサナリアさんは」
「あーし達は他にも二人の姉妹がいて一つのグループなんだけどね」
ソジュンは興味がないのか部屋の隅であくびをしている。
「おいおいどうしたんだ」
ジンの質問にナタリアが答える。
「ジンさん以外にもアストラルガールズを知らない人たちがいたので説明してたっス」
ジンは返答に困ったようにそうかとだけ返し、本題に話を戻す。
サナリアが全員に伝える。
「ラハユは何一つ嘘をついていない」
「てことは本当に自分のやってることが治安維持だと思ってるって事っスか?」
「そんなんおかしいじゃん、あいつは誘拐してる側にいるはずっしょ」
「おそらく、利用されているのかもな」
ジンの言葉にピース、マッド、ナタリアの顔は難しそうなる。
ソジュンはその空気を察し質問する。
「どうしたんだアンタら」
「俺たちも経験済みでな。他人に操られていたってケースは、、、」
オリヴィアの事だ。
「だったら前より上手くやれるって事じゃん!」
「ネル!」
サナリアがネルを咎めるように言う。
「な、なんだし」
「考えてみなさい。ラハユを味方につけるにしても、敵のまま真実を突きつけるにしても、どちらにしても彼女の今まで信じてきたものを、もし父親が黒幕であるなら深い傷を負うことは避けられないの」




