ルーツ
4日目が始まります。
今日から国境の森を越えることになります。この森はこの旅の難所の場所を迎えます。
この森は深く山がちの道を抜けていきます。ここには魔物や盗賊などが出ると言われており、
これを抜けるために護衛の人が必要となっているのです。
出発の用意をしていると、クロノ司祭に話しかける人がいます。
「始めてお目にかかります。わたしはルーツと言います。旅の商人をしております」
「旅の商人の方ですか、どうされましたか?」とクロノ司祭
「実はお願いがあるのです」
「お願いですか?」
「この森を越えて王城へ向かわれると聞きました。皆さんの一行に同行させていただけないでしょうか?」
「わたしは仕事で仲間と王城からこの東地区にきたのですが、自分の仕事は終わったので帰ろうと思ってここまで来ました。しかしこの境の森は一人では危険であると聞き、マズイと思っておりました」
「剣でも使えればですが、私は商人なので、とんとその方がだめな方でして」
と苦笑いして話します。
見た感じは、別に怪しい人ではなさそうです。
「大勢でここを通過する人たちがあれば、それと同行させていただけると、安全と考えてしばらくここに滞在していました。そこに皆さんがここに来られたので、同行をお願いに参った次第なのです」
と商人ルーツは同行を頼み込むのです。
「そういうことでしたら、たしかルーツという名前から王城のあの商会のかたですか?」
とクロノ司祭は聞いてみました。
「はいその通りです」そう言って商会ギルドの一員であるという札をクロノに見せます。
クロノ司祭は、そばにいるケルンに話しかけます。
「今話があったように、同行させてほしいとの事なんだが、どう思うかね」
「まあ良いんじゃないですか、この村の人にも聞いたのですが、商人であるのは確かみたいですし」
「いまから抜ける森はやはり危険なので、一人でも多い方がやはり心強いとおもいますから」
護衛係のケルンとの話も決まりましたので、荷物の馬車の隅に乗せて、同行を許すことになりました。
「助かりました。これで王城の店に帰ることができそうです。ありがとうございます」
本当に助かったと言う顔で、ルーツは馬車に乗り込みました。
出発の準備にいろいろな荷物を積み込んでいきます。
その最中にアンナは、ケルンと少し何かを話しています。
準備が終わり聖女達も馬車に乗り込みました。さあ出発です。
出発に当たってクロノ司祭やケルン、護衛の人たちに緊張が漂っています。
これからが道中の一番の難所だからなのです。
今回は隊列を変え、護衛の人たちが乗る馬車が先行し、聖女達が乗る箱馬車がそれに続く形となります。
クロノ司祭は護衛の人たちと先行の馬車にのり、後ろの箱馬車の中にはアンナとサンディ、ベル、ノルの三聖女とトリーの5人が乗っています。
後ろの箱馬車の上には、馬を扱う御者と、護衛を兼ねてケルンが弓を持ち同乗します。
そして「さあ出発だ」 大きな声が上がりました。