グント
階下からルーツが、桶に入った水と布を持ち込みました。
トリーはルーツから渡された布を切り、布を水につけ、冷えた状態にしてアンナに渡します。
トリーは更に、「ルーツ、革袋に水を入れて持ってきて」
と指示を出します。
アンナは冷えた布をわたされると、手際よく足首を保護するために布で固定しました。
トリーは、階下からルーツが持ってきた水の入った革袋をアンナに渡しました。
アンナは革袋を患部に当て、冷やします。
トリーはルーツを呼んで、革袋を持つように言います。
「これで少しは楽になりますよ」
アンナ聖女のこの言葉に、グントはその処置の素早さに驚きを隠せず、ただ見ているだけでした。
執事達に支えられて、足首に包帯姿のグントはなんとか椅子に座ろうとしました。
トリーはルーツに、足置きの台を持ってくるように言います。
「患部の足は降ろさずできるだけ、上げて下さい。その方が腫れるのが遅くなります」
アンナがそう言うとルーツが持ち込んだ足置き台に、椅子に座ったグントの片足が置かれたのです。
「いやいや、どうも不調法な姿をお目に掛けました」とグントの恐縮するすがたに
片足を上げて椅子に座るグントに、アンナが近づくと
あの例の左手をあげるポーズです。
アンナ聖女は、グントの目をじっと見て、「だいじょうぶですから」といいながら
グントの側で片膝をつけながらその左手をゆっくりと患部に降ろしていきます。
その手が患部に軽く当たり始めると、その目に引き込まれたグントの口から
「なにか、痛みが引いていくような…………」
その次の声は、「あ聖女様……」
驚きの表情です。
(痛みが消えていくのです。)
周りで見ている人の顔には驚きの表情です。
(これが聖女様の力だ)
(三位の成績とはいえ、歴代の優勝者を超えており、マルゴット大聖女様直々のお声掛かりの聖女様の力が目の前で見られるとは)
アンナは、グントの目を見ながら、ゆっくりと手を離し、微笑みながら
「しばらく安静にしておいて下さいね」
まわりのグント商会の執事に
「ぬるくなるので時々、革袋の水を交換してください」
「トリー」
「ハイ」
「お年なのであとで聖堂の医師に念のため、見に来る様に連絡してください」
「たぶん骨には影響が無いだろうと思いますがと」
「承りました、手配しておきます」
アンナはグントに向かいなおると、「腫れが引いてきたら布の縛りは緩めて、少しずつ動かすように
してください」と最後の指示をだしたました。
あとで聖堂からやって来た医師の話では、処置完璧なので何も問題ありませんとのこと
処置が完璧なので、だれがというとあのアンナ聖女様ですとの返事で、医師は「私の出る幕ではありませんなと」恐縮至極であったとか
それで商会ギルトの中でも、アンナ聖女達の評判が更に上がりました。




