メラノ邸の夜
いつもの執務室でみなが集まったところで、簡単なお茶がデント執事より用意されています。
そしてそれが一段落したところでメラノ侯爵から
「疲れている中、大変な事ばかりで申し訳ないが、今後マルゴット様の葬儀が行なわれることもあるのでどのような話しが王宮であったのか、教えてもらえないだろうか?」
「クロノ司祭からは、いろいろ難しそうな状況であったと聞いているが、話せない事もあるだろう。
出来るところだけで良いので、教えてもらいたいのだが」やはり心配顔のメラノ侯爵です。
聖女達は顔を見合わせましたが、それではという事で、やはりアンナがその問いに答えたのです。
「王様が私たちを呼ばれたのは、おっしゃる通りあの舞の事でした。あれはマルゴット様が長年温められてきた物です。私たちはそれに従って披露したものですので、メラノ様がご心配されるような事はありません。ただこれについては、大切なマルゴット様の遺産であるので、王家で管理するつもりであるとおっしゃいました。それ以上については、申し上げることができない事をお許しください」
やはり、これ以上の事は話せないことがメラノ侯爵にもわかりましたので、この話題はこれまでとなりました。その様子でアンナ達もすこし肩の荷がおりたようです。
「所でこれから先のことだが、大聖女様の葬儀がひかえているので、デントからわかっている点を話してもらえないか?」という事で、やはり実務をよく知るデント執事の出番となりました。
「それでは、予定される葬儀についてです。大聖女様の葬儀でありますので、相当大規模なものとなると思います。各地からも弔問の使節が到着するでしょう。また国外からの使節の来場も予想されています。丁度東のノルト伯爵様がおいでになっているので、よろしければメラノ邸にご滞在ください」
そう言って、メラノ侯爵の方を向きますと、侯爵もウンウンとうなずいています。これについてはあらかじめ話合いが行われていたみたいです。伯爵もそれならと言うことでメラノ邸に滞在となりました。
「また聖女の皆さんは、今回の大切な関係者ですので、葬儀が終わるまではここに居てもらう必要があろうかと思います」
「ところで葬儀については、クロノ司祭はどのように聞いていますか?」
とクロノ司祭に葬儀の予定を問います。
それに対して「葬儀については、大聖堂の教会関係者が式を主導することになると思います。ゲルト大司教が葬儀を執り行われます。そして筆頭聖女代行の王妃様を頂点として、聖女様達がマルゴット様を送る儀式が行われると思いますので、今回の7人の聖女様は最も注目される存在になると思います」
「教会側との連絡調整には、私が当たるつもりでおります」
それを聞いて、デント執事からも教会と葬儀については、クロノ司祭に「色々とお願いいたします」
となりました。
そしてデント執事は、ノルト伯爵に向き直り、「さきほどお見せした聖女様への招待状ですが、急遽
大聖女様の葬儀となりましたので、その後喪に服する期間となるでしょう」
「しばらくご招待はひかえるべきでしょう。当分お断りという事になろうかとおもいます。そういう事でいかがですかノルト伯爵様?」
その様に話がふられたので、「ではその様にお願いしたい」と返事をしました。ノルト伯爵としても少し時間がとれたことでホッとしています。
到着時の話から、貴族有力者からの招待が只の儀礼的なモノでは無いとわかってきたからです。
招待については、「メラノ侯爵様に色々と相談させていただきたいと考えています」と答えるのみなのです。その対応は難しいことになってきました。
しかし、聖女達とくに3聖女は招待が先送りできましたし、相談できる見知ったノルト伯爵がおりますので、こちらもホッとしているのです。
会談は終わりましたが、ノルト伯爵はもう少し状況が知りたいので、メラノ侯爵たちとしばらく話し合うことになり、会談を続けていました。
もう夜が更けてきていますので、ノルト伯爵と聖女達との詳しい話は明日にするという事で、聖女達は休むことになりました。今日は大変な事が続いていたからです。
しかし本当に恐ろしい事件はこの後起こることになったのです。




