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アンナの旅  作者: mega
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伯爵家にて

アンナの手紙が東地区の伯爵家に届いたしばらく前の頃です。

父親である辺境伯爵と夫人の相談が始まっています。

「一度、王宮まで行ってみようと思う」

「一緒に行ったサンディ達の手紙も、届いているみたいなんだが、どうもその内容が、あちこちから

招待状が来ていて、あのアルク大公様やメーセン宰相様からのもある様子なんだ」

「なにか、大事になってきている様子なので、実際にどうなっているか一度迎えに行く事を兼ねて

王宮までいってみたいと思う」

「3聖女の親族からも行ってもらえないかと言われたんだよ」

「東地区の代表としてという事で、わたしが行くことになったよ」

東地区の実家では、こんな平和そうな会話で始りました。


「そういう事でしたら、お帰りになるまで、家でお待ちしております。病気のマリーもおりますから」

「そうだな、そういうことだからしばらく家をあけることになるが、そんなに時間はかからないと思う」

「アンナがまだ王宮にいるだろうから会えそうだな」

父である伯爵は、しばらくぶりにかわいい末娘に会えそうなので、ご機嫌な様子です。


「今回の競技会でお世話になったメラノ侯爵にもお礼が言えるだろうし」

「まあいい成績だったようだから 地区の面目が立ったよ」

「手紙の様子ですと、まだ挨拶回りをしているくらいだろう、一緒に帰ることになるんだろうと思っている」

「一緒に行ったトリーもケルンも元気にしているかしら?」

「あの手紙からまだ何も来てないし、便りが無いのが元気な証拠というから、みんな元気にしてるんじゃないか」


「しかし一緒に行ったトリーが聖女ってのは、びっくりだよ」

「あの子がね、まさかそうだったのは私もおどろいていますわ でも見習い聖女でしょうから」

「もしなっても聖女まで行けず、消えてしまう子も多いように聞いていますし」

「まあトリーもいい箔がついた位じゃないか、もう結婚しても良い時期だろうし、いい相手を探さないとな」


「ところで残していくマリーの具合はどうだ? 大分良くなってきているみたいだが?」

「アンナがここを出発したあとから、だんだんと良くなってきました。ホントに良かったですよ」

そういう話をしていると、二階から階段を降りて来る足音が聞こえます。


「降りてきたのはマリーか、具合はどうだ?」降りてきた姉のマリーは、

「お父様、歩けるくらいには、良くなりました。下でお母様とお話されているのが聞こえましたので、降りてまいりました。王宮へ行かれるのですか?」


「その様になりそうだ。元気であればマリーにも一度王宮を見せたいし、本当であればおまえが行くはずだったわけだからな、ただ良くなってきたとはいえ、まだ完全じゃないので、今回は留守番だ」

「まだ今のままでは、お父様の足手まといにしかなりませんから、そう致します」

マリーはちょっと残念そうです。


この時点では伯爵家のみんなは、何が起こっているのか全く理解していないのです。


翌日父である伯爵は姉のマリーと母の見送りの中、護衛2名をつれて馬車で出発しました。

国境の森に着くと、魔物の姿はなく弓の聖女が退治したとの話があり、弓の聖女のお札のお守りを見せられ、感謝の声が聞こえてきます。

「アンナは何をしたんだ?」

(アンナ達は追い払っただけですが、話は大きくなるモノです。話を大げさにした人もいましたし)


難なく国境の森を超え国境の町の教会に到着して、司祭に東地区のアンナの父の伯爵であると身分を明かすとあのアンナ様のお父様ですかとビックリする顔をされて、もう上も下へも置かない扱いです。

「この扱いはなんなんだ?アンナは?」


それどころではなく、翌日にはメラノ家より馬車が差し回されてきており、これで王宮のメラノ家まで

おいで下さいと、もう大変な扱いなのです。VIP待遇なのです。

なにかしら、伯爵は家で思っていた状況ではなくなにかおかしいことに、戸惑いを覚え始めています。

そしてその馬車が王宮のメラノ家の邸宅に到着したのは、マルゴットの事件がおこった翌日の夕方なのです。


そして、メラノ侯爵の邸宅に到着すると、もうてんやわんやの状況です。

マルゴット大聖女が亡くなった、それにアンナ聖女達が関係している。

話を聞くために王宮に呼ばれている、そのドタバタの所にアンナの父であるノルト辺境伯の父がメラノ侯爵の所に飛び込んできたのです。


困り顔のメラノ侯爵です。

「やっぱりとんでもないことが起こったぞデント」

「そうですね。まあお年でしたから」

「またアンナが一枚噛んでるらしいみたいだ」

「マルゴット様の舞を披露した直後、亡くなられたと聞いています」

「アンナ様が殺した訳じゃあありませんから、そうご心配されなくても………」

「もう物騒なこといわんでくれ、あの魔女様は何をしでかすかわからない」

そんな話の中で、言いにくそうではありますが、デント執事より


「あの、アンナ様のお父様であるノルト伯爵が急遽おいでになっております」

「おい!!なんでこんな時にやってきたんだ。これをどう説明すればいいだ!!!」

「そういってもしょうがないです。メラノ様、まずはお合いしなければ」

こう言うバタバタ状態で、メラノ侯爵邸の控え室に通されたノルト伯爵にメラノ侯爵が直々にデント執事を伴っての面会です。


メラノ侯爵が控え室に入室すると、ノルト伯爵は立ち上がりました。

デント執事が、二人を各々紹介し、挨拶が終わった後、お茶を用意して一息ついたところから、まずノルト伯爵から、メラノ侯爵へ今回の競技会へのメラノ侯爵のなみなみならない援助にたいしてお礼が述べられたのです。


「このたびは、競技会について東地区の聖女達に並々ならない支援をいただき、東地区の代表として

お礼をしたいと思い王宮へ参りました。支援の数々ありがとうございます」

その質実剛健ながらも純朴誠実なたたずまいを、メラノ侯爵もデント執事も感じました。

(これがアンナ聖女様の父上なのかと)

しかし、どうもその態度にはどうも違和感というか居心地悪さが漂っています。無理もありません。

ノルト伯爵への扱いが腫れ物を触るかのような雰囲気なのです。


「どうも事情をご存じ無いだろうから、今の状況をデント、説明してあげてくれお願いする」

そう言って、メラノ侯爵はうつむいて頭を抱えています。

その姿を見た伯爵には、困惑というか何がおこったんだという想いがわき上がり始めました。


デント執事は

「ノルト伯爵様、どのくらい今の状況をご存じなのですか?」

その質問のただならない口調を聞いて、アンナの父の伯爵は、知っていることを話します。

「まず旅の途中で魔物を退治して弓の聖女とアンナは呼ばれる様になったとか」

「東地区の聖女達が、前回より良い成績が出せた、3聖女達にもその後招待状が来ているという手紙が着いたとの連絡があったので、お礼を兼ねてということで、伺ったしだいですが?」

「優勝、準優勝は下馬評通りで、アンナが優勝でもしたら、それはすごい事でしょうが?」

「前回4位の最下位から一つ上がったくらいでしょうから」

と全くノンキというか平和というか、そう言う認識で答えたのです。


その返事を聞いて、メラノ侯爵とデント執事は顔を見合わせて

(ホントになにもご存じ無い!!!)


まずデント執事は立ち上がって、大きな箱を持ってきました。そしてそれをノルト伯爵の前に置き、

その箱をあけると山のような招待状の数々とその最上には、アルク大公とメーセン宰相の招待状とそれにもまして豪華な王家の招待状まで来ていることを披露するのです。


 それを見せられたアンナの父の伯爵は、その重大なことが起こっていることに気がつき始めます。

そして、顔色が変わりだして、「何が起こったのですか?」とデント執事に問うのです。


メラノ侯爵は頭を抱えている状態なのでデント執事は

「どこからお話しすべきかわかりませんが、まず順位が一つ上がったという事ですが、その内容が

段違いなのです」

「段違いというと?」

「前回の競技会の事はご存じとは思いますが、アンナ様は3位とはいえ、前回の優勝者を優にこえておられます」

ノルト伯爵はその言葉を聞くと、驚きの顔に変わります。

「それどころか、3聖女のベル、サンディ、ノルの皆さんも、たぶん前回の優勝者を超えているのです」

ノルト伯爵は、この大量の招待状の意味がようやく理解できました。

「ちょっと待ってくれ、一月前、家を出発したときは、そんな様子は無かったはずで、3聖女も言ってみれば、見習い聖女のちょっと上かぐらいでとてもとても、そんな事はあり得ない」

そしてデント執事は、トドメの一言

「ご存じ無いと思いますが、アンナ様と一緒にお連れになられたトリーさんが聖女に昇格されています」

「そんな、アンナから受け取った手紙では、トリーが見習い聖女になったことは書いてあったが、そんなに簡単に聖女になれるなんで聞いたことが無い」

出発時のトリーの顔を思い出しながら、ノルト伯爵は、まさかそんなはずは無いという表情なのです。


「それどころか、トリーさんの聖女の力は、3聖女と同等レベルで、前回の優勝者を超えていると推定されています」

ついにノルト伯爵も頭を抱えてきました。(あのぽっと出のトリーが聖女!!!それも並のレベルじゃないって)

「まだあります」

「まだあるんですか?」

「ハイ、ここでの話は絶対にご内密にお願いいたします。実は競技会の結果なのですが………」

「競技会で何か間違いがあったのですか?」


「じつは、1位のアルク大公様のベアトリス聖女様、と2位のメーセン宰相様のキラ聖女様をアンナ聖女様と3聖女とトリー様が、助けられたのです」

もうノルト伯爵もその招待状の意味が理解出来ました。わが娘であるアンナが遙か高みの聖女であることに、気がついたのです。

「あと付け加えると、アルク大公邸への招待で、一緒に来られたケルンさんが、弓の能力を大公直々に認められて騎士団の方に引っ張られる事になりました」もうデント執事のこの話もノルト伯爵には、アンナの方が心配で上の空です。

さらにデント執事は、さらにトドメの情報を披露します。

「実はいまアンナ様がここにいらっしゃらないのは、昨日マルゴット大聖女様がなくなれました」


「まさかアンナが何かしたんですか」伯爵の顔色がさらに変わりだしました。

「競技会の後アンナ様は大聖女様とお会いになりました。そしてそれも何日も、お合いになっておられます。マルゴット様のたっての願いと聞いています」

「マルゴット様はほとんど会うことが出来ない伝説の大聖女です。それが何度もアンナ様が会うなんて付き添いで行ったわたしも信じられないのです」

「それどころか、トリーさんもマルゴット様にお会いになっておられます。その直後、トリーさんは聖女になられています」

もう伯爵は、混乱で開いた口がふさがりません。驚きと呆然とでただ聞きいるばかりです。

(あのトリーが大聖女様へ何で会えるんだ。そして直後に聖女だとなにが……)


「それだけでなく、3聖女とトリーさんは、一位のベアトリス様と二位のキラ様に何事かを伝授したとのことです。なにを伝えたかはわかりませんが、そのようです」


「それをもって7人の聖女が離宮において国王様、王妃様、大司教様にマルゴット様から指示された舞を披露されました。その中でマルゴット様が亡くなられたのです。その舞は限られた人しか見ておりません。そこで何がおこなわれたのかについては、今王宮にて国王陛下のもと聖女様7人とお話し合いが行われています」

「それについてはクロノ司祭が付き添いでついいってくれています」

「もうおわるでしょうから、みんなここに帰ってくるとおもいます」


もはやメラノ邸の待合には、頭を抱えたメラノ侯爵とノルト伯爵の二人の姿です。

そう言う話し合いが行なわれている頃に、

「王宮から馬車が帰り着きました」という伝令の声がデント執事の元に届いたのです。

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