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アンナの旅  作者: mega
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意味

 いえ、そこにいるのは光輪をもつ三人の聖女なのです。

(マールには、わかるでしょ)

アンナはトリーに向かって

「トリー、近くへ来てご挨拶しなさい」

本当であれば、近づくことすらも出来ない伝説の大聖女様を前にして、

トリーは緊張でもうコチコチです。

ですが、主人であるアンナよりそう言われましたので、ベッドの横におずおずと近づきトリーは挨拶しました。

「マルゴット様、トリーと申します。アンナ様の従者をしております」

もう緊張でそれ以上話すことができません。口の中はカラカラ。噛まなかっただけマシです。


「このトリーは見習い聖女の服装をしておりますが、そうなったのはわずか10日前です」

アンナのその言葉にマルゴット大聖女の表情に驚きがあらわれます。

「このものは、もうすぐ聖女昇格の試験を受け、間違い無く正式な聖女となります」

とハッキリと話します。

マルゴット大聖女は、初めは驚きましたが、トリーのその姿を見て、何度もうなずき納得した様子です。

(みえるでしょ、このもののすがたを)

「この者が聖女になれたのもマルゴット様のおかげと思っております」

(わたしが何をしたのですか?何を?)

(この者がでるには、それが必要だったんだよ)

(あなたとあなたの夫である王が作り上げた平和と)

(そしてマールが苦労して作り上げてきたこの聖女のしくみがどうしても必要だったんですよ)


「聖女様達が大切な事をこのトリーを始めみんなに教えていただきましたから」

「そうですよねトリー」

(聖女達の属する教会は、皆のよりどころであり、人々の病院でもあり、子供達に教える学校でもあり

またその教えは人々に正しいことを教えていったんですよ)


「聖女様に教えていただいた事が、わたしの糧となっております。アンナ様が私に、聖女になれるとおっしゃいました。その時に言われたのが聖女様の教えが出来ているからと一番はじめに言われました」


(まだまだ時間はかかるとは思うよ、でも平和により人々は増えていき、この戦争で無残に殺されるものは無くなったので人々は協力するようになった)

「先に訪問しましたベアトリス様やキラ様も同じ様になると思います」

(そして、マールの様に長い寿命を得ることが当たり前の時代になる。まだ長い時間はかかるだろうけどね)


そしてアンナはトリーに

「今回お持ちしたものを、マルゴット様にお見せしなさい」

そう言うとトリーが、小袋から持ち出したのは、あのポーション(薬)でした。

「これは私とトリーで作りました回復薬です。よろしければ、お使いいただければと思います」

マルゴットはそれを見て

「回復薬と言えば、私も長年試作しましたが、満足のいく物ではありませんでした。でもこれは全く違っていますね」


そう言うと また手元のベルを鳴らします。

同じ様に、お付きの女性執事が、「失礼致します」と言ってドアを開け入ってきます。

一礼して、「お呼びでしょうか」と言いますと

「コップを二つ持ってきて」とマルゴットは言います。

そしてコップがトレイに乗せて、持ち込まれます。


それにアンナは、二つのコップにこのポーションを注ぎます。

「では、まず私が飲んでみます」

そう言ってアンナが飲んでみせます。(毒見は必要なのです。)

アンナは、その中身に間違いが無い事を確認しました。

なにも問題ありません。


それを見て「それを私にと」執事に指図します。

その薬の入ったコップを執事はマルゴット様に差し出されました。

それを手に取りマルゴットはそれを一口飲んだだけで、ハッとした表情に変わりました。

「あーーーこれが私が本当に作りたかったもの これがあれば、どれだけの人が救えた事でしょうか」

と天を仰ぎそして(あの人もその時これがあれば……)とうつむきます。

力がよみがえってきます。大聖女の顔に生気が戻ってきています。

お付きの執事の人もマルゴット様の顔色が良くなってきていることに驚きます。


「これもマルゴット様と王様が行われた事のひとつなんです」アンナは自信をもって話します。

「なぜですか」マルゴットは不思議そうに問いました。


「これも長い平和であった為です。そうであるから、遠い諸国の物が遠くから集まってきます。

平和が多くの物を生み出し豊かにしたからです」

「この原料はこの国では手に入りません。平和な交流が生み出したものですから」

マルゴットの心の中に聞こえます。

(このポーションはताकाहाशी नो इकुहि様に教えていただきました。私が醸した特別なものなのです)

「良き物ですね。期待しています」


会談も長くなってきました。ではそろそろということで、アンナは立ち上がろうとします。

マルゴットはアンナに手をとって、名残惜しそうに

「またきてもらえますか?」と言います。

「はい、マルゴット様のお呼びならばいつでもまいります」と答えます。

(マールの頼みならいつでもね)

(昔の話をしたいから、山ほどあります。80年分ですよ)

本当に名残惜しそうにマルゴットは手をはなすのです。


アンナとトリーはマルゴット様に一礼をして、この執事にみちびかれてこの部屋を後にします。

マルゴット大聖女はその後ろ姿をずっとずっと見ていました。

大切な友を見送るかのように


待合の部屋につくとデント執事がまっていました。

「マルゴット様との今日の招待は終わりましたのでおいとましましょう」

とアンナは告げました。

デント執事は何か言いたそうでした。

玄関にむけ歩きながらアンナは小声で「詳しくは車中で」

離宮の玄関には、メラノ家の馬車が待っていました。

女執事に礼を述べてアンナとトリーはデント執事の介添えで車中に乗り込みます。

「本日はおいでいただきありがとうございます」との執事の声におくられるようにして

帰還の途につきました。


馬車の中では、さっそくに

「アンナ様、マルゴット様のご招待が無事に終わり安心しました」

その長い会談にデント執事はホットした様子で話すのです。

「心配かけました」


「途中でトリー様をお呼びになったのは驚きました」

「マルゴット様にあのポーション(薬)をお見せしたかったのです」

「あれは、まだ未完成のものでは?」

「昨日の後、私とトリーで手をいれてみましたので、十分お出しできる物とおもいましたので」

「マルゴット様はお使いになったのですか」

「ハイ、飲まれてこれは良い物であるとのお言葉をいただきました」

「だからこれほど時間がかかったのですね、どうなるかと心配しておりました」

「心配掛けました。心配を掛けついでですが、これからしばらくマルゴット様を訪問することになると思います」

「また来てほしいとのお言葉をいただいています」


その言葉に、デント執事はまたビックリです。

マルゴット様はほとんど人にお会いにならない方ときいていたからです。

驚きが終わる間もなく

「それから、マルゴット様にお会いして、トリーの聖女昇格試験のお話もしました」

と話すのです。

「なんどもうなずかれておられました。そうですよねトリー」

トリーも急に話をふられたので

「ハイ」としか言えません。


アンナはトリーにたたみ掛けるように

「ですからトリー、ベアトリス様とキラ様への訪問、3聖女を手伝っていってくださいね」

「マルゴット様にお会いする必要がありますから、私は行けませんから」

「マルゴット様の太鼓判をいただいたわけですからね」

「昇格試験失敗ってのは、間違ってもあり得ませんよ」

とトリーにハッパを掛けます。

「でもわたしのようなものが……」トリーはその言葉にオロオロしています。

「従者の失敗は私の失敗ですから、私に恥をかかせないでね」

もはや脅迫です。


 それを見ていたデント執事は

「トリーさん、アンナ様がこう言われるのは、合格間違いないからですよ。マルゴット様の太鼓判があれば、なにがなんでも合格ですから」

(それはそうだ、マルゴット様がウンといったものがひっくり返るはずが無い)

(またポーション(薬)もだ、マルゴット様のお墨付きがつけばどれだけの信頼がつくか、考えただけでも恐ろしく売れる、メラノ様が儲かる)

(むちゃぶりに見えて実はアンナ様はそこまで考えてくださるのかと)

なんと美しき誤解なのでしょうか

人はものの一面しか見ることができない物なのです。




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