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アンナの旅  作者: mega
35/61

王家の招待

 その王家から送られた招待状を目の前にして、メラノ侯爵はデント執事と頭を抱えて相談です。

「やはりついに来たか」とメラノ侯爵

「おそらく、ベアトリス様、キラ様にもおなじ物が到着してると思います」

「つぎはこれを処理するしか無いが、立て続けにこれだけ重い手紙は経験が無い」

「マルゴット大皇太后様が何故に? この時期に?」

デント執事もこの意味を図りかねています。

「わが教会における中興の大聖女様とおっしゃる方です」

「もう何十年も見たことも無い方がなぜ」

教会の事をよく知るクロノ司祭も、その意味がわかりかねています。


「やっぱり原因は、どうやったか想像もつかないが、あのアンナ聖女としか」

「このレベルになるともう怖くてしようがない、一つ間違えると首がチョンだぞ」

もうメラノ侯爵は、もう及び腰です。


「おじけづかれましたか、でもこれらは策略を労したわけでも無く、ただ流れでそうなっているだけで

話自体も全く悪い話じゃありません」そう言っているデント執事は、状況を冷静に判断しています。


「こうなったらやって行くしか無い、招待はアンナ様一人だけだ、お付きは必要だが、三聖女の同行は必要ないだろう」メラノ侯爵は決断します。

「仰々しくはしてもらいたくないようです。マルゴット様も具合が良いわけではないみたいで

あくまで私的な会合にしてもらいたい。ただ会いたいという趣旨みたいです」


教会側の調査情報としてクロノ司祭は、

「前回も前々回も調べてみて、こんな話は出なかったとありました。確かに競技会の成績は今回と比べては相当悪いという状態ではありましたけど、またこの競技会自体を始められたのもマルゴット様と聞いています」

「日付は明後日、急いでおられるようです」

「あす朝にアンナ様と相談して、承諾の返事を送るように手配してくれ。国王陛下の招待など、とんでもない代物だ間違いが無いように」

「明日の件はデントよろしく頼む。しかしもう頭痛が止まらんよ」

「しかし今日の件、振り返ってみれば、あの話トンデモナイ内容だ」

メラノ侯爵はこの急展開についていけません。

「昨日までは団体戦なら実質東が一位なんじゃ無いかなんて言ってましたが」

とクロノ司祭の言葉に

「ああそれだ、三聖女とトリーが援助にまわって、それもアンナ様だけで無くベアトリス様とキラ様まで助けたなどともう他には口が裂けても言えない話だ」

もう小声で話すメラノ侯爵です。

「それって一位それも、とんでもない高みから見下ろされているくらいの差です」

そのクロノ司祭の言葉につづいて

「たいした方ですな」といつも冷静なデント執事です。


「それだけじゃない、さっさと1位と2位を譲って、あの大公と宰相の顔を見たか、うれしそうな満足した顔だったぞ、その結果がこの贈り物だ」

メラノ侯爵はそのきらびやかな高価な贈り物を指さし更に

「アンナ聖女様はこの競技会の土俵を自分の都合の良いように作り替えやがったんだよ」

「もし問い詰めてもだ、ニコリと笑って、「聖女の役目は苦しむ人を助けることです。何かおかしいことでも?」というミサイル(この時代はありませんが)が飛んでくるのは目に見えている。いってもそれでボコボコに完封されるだけだ」

「デント坊ちゃまもう良いではありませんか、アンナ様に失礼です。もう夜もおそいことですし」

「クロノ司祭、アンナ聖女様は昔からあんなのだったのか?」

ともう呆れを通り越して、振り回され、心配させられ、困惑しているメラノ侯爵は問います。


「まったく、わすれものがおおい 元気なかわいい聖女様でしたよ、本当は姉が出場する予定が病気で引っ張り出した程度で補欠というか二軍クラスでした。ですから、今回の競技会は最下位だろうとの噂で、もしかしたら3位になれたらいいなとかいう淡い希望で参加したくらいです」

とクロノ司祭は経緯を話すのですが、その口調にも困惑が表れています。


「それにしても三聖女も化けました。そしてトリーが聖女になるだなんて、故郷の人が聞いたら、嘘をつくにしても、もうちょっとマシな嘘にしろといわれるくらいですよ」

「なにが変わったんだかね」もう諦めたかのようなメラノ侯爵の口調です。

「出発してからですね多分、急に聞いたことも無い歌を歌い出してましたから」

「なにかが取り憑いたんじゃないか、神か悪魔か」

「坊ちゃまもう冗談はよしてください。縁起でも無い」

その後もこの3人は夜遅くまで、頭を抱えながら話し合いが続いていました。

メラノ侯爵はその夜眠ることが出来なかったようです。

眠れるように酒でも持ってきてくれと言ったとか言わなかったとか


さて

翌日になりました。

みんな昨日は緊張で疲れたのか、聖女達やトリーも ずーーーと寝ていたようです。

昨日は本当に緊張してつかれました。

すってんころりんは免れましたが着慣れない衣装を着て、ナンナが話してくれたのでしゃべらないので助かりましたがうなずいているだけでも緊張の連続です。

見たことも無い大邸宅、豪華な装飾と内装、そして訓練が行き届いた多くの使用人達がズラリと注視する中を、招かれて歩くだけでも100倍疲れます。


 寝ても寝られず、起きても身体はガチガチです。そして宿泊のメラノ邸のベッドは、今までの東地区宿舎よりも格段にふっかふかでは、みんな寝不足の顔をしています。

起きて顔を合わせると

「おーはーよーぉ、ごーざいましゅ」

「ちゅかれたーーー」

「ねれなーーーい」などなど

と寝不足そのままです。

それでも顔をあらって朝食をはじめたのですが、それが終わったあと


 アンナから三聖女にトリーの件を話しだします。

「相談があります。実はこのトリーを見習いから正式な聖女に昇格させようと思います」

トリーを目の前にしてこの言葉にサンディ、ベル、ノルの三聖女は眠気が飛んだ顔になりましたが

「良いじゃない賛成」

「トリーさんなら間違いない、大賛成」

「よかったねトリーさん 応援するわ」

など気の良い三聖女です。

「じゃあみんなの賛成があるから、トリーの聖女昇格推薦よろしくお願いしますね」

「はーい、トリーさんなら絶対大丈夫です」

「間違い無いです」

「ハーイ」

その応援を聞いて

「ありがとうございます。私のような者が聖女になれるなんて夢のようです」

とトリーは答えるのです。ちょっと涙目です。

「トリーは頑張り屋さんだからきっとふさわしい聖女になると思うよ」

とノルは励まします。

「みなさん私はまだまだ見習いになったばかりの未熟者です。そんな私が聖女になってもよろしいでしょうか」まだトリーは自信なさそうですが


「うんトリーさんなら大丈夫、自信を持って良いよ」

「トリーさんなら一発合格間違い無しですよ」

ベルもサンディも大丈夫との太鼓判です。

もうみんなわかっているのです。

トリーが今回の競技会で行なったことはもはや十分すぎる能力を示しているからなのです。

トリーも昨晩は不安がありましたが、アンナ様を信じることで、聖女昇格への決意を固めたようです。

「はい、がんばります」

トリーはしっかりとその決意をあらわしました。

そして

「でもアンナ様、なぜこのような時期に」

「それはね、いまがその機会だとおもったからよ」

「やるんだったら、トコトンやらなきゃ」

そんな話が聖女達でまとまった頃、クロノ司祭がやってきました。


もうクロノ司祭も寝不足気味です。

「招待状の件で相談したいので、メラノ様の部屋にきてほしいと、三聖女様もトリーも一緒に」

という事でメラノ邸の来客の間に集合です。

そこには寝不足のメラノ侯爵とデント執事がまっていました。

「お疲れの中、聖女の皆さんにおいでいただきありがとうございます」

とデント執事が全員が着席したところで切り出します。

「お集まりいただいた件ですが、まずはメラノ様から話していただきます」

メラノ侯爵はもっとひどい顔です。


「ご苦労様です。実は表彰会でいわれていました王家からの招待状が来ています」

そう言って豪華な招待状を皆の目の前におきました。

「くわしくはデントよりお願いする」その声から相当疲れているようです。

「王家からの招待状はアンナ様一人に来ております」

「相手はマルゴット皇太后様で、王城から離れた離宮で待っておられるとのこと」

「日付は明後日で、同様な招待状がベアトリス様、キラ様にも来ているとおもわれます」

「訪問は少人数で、私的な招待という所です」


それを聞いて

「では招待を受けるという方向でご返事ください。また随行の人選はメラノ様にお任せします」

そのようにアンナは答えたのですが

その話をきいていた三聖女は、ちょっと休めそうだ思いました。

が、次のデント執事から、三聖女に爆弾が落ちました。

「王家以外にも多数の招待状が聖女様にきております」

「ハッキリ言いますと、これらの招待状はお見合いです」

「聖女様がウンと言えば、おそらくすぐ婚約が決まるだろうと思います」

「これをどうされるかです」

「どうすると言っても、わかりません」振られたサンディはもうびっくり

「まさかこんなことになるなんて、東にいる両親に手紙を書きます」ベルもどうして良いのか

「待ってください。これらの方々がどんな方なのかもわかりませんし」ノルは先送りしたいようです

などなど、

3聖女は前に積み重ねられた招待状にもう訳がわかりません。


「この招待については、まだ王家の招待がおわっていませんし、またベアトリス様、キラ様の件がありましたので、しばらくは時間猶予があるとおもいます」

「ベアトリス様、キラ様の件というのは?」メラノ侯爵は話を遮るようにデント執事に質問しましたが

「お忘れですか、アンナ様が両名に方法を公開して教授する件です」

「アンナ様これはどうされるのですか?」


その問いかけに対してはアンナは平然と

「これはわたしがお伝えしたいとおもいますが、初めについては三聖女とトリーに手伝っていただきたいと思っています」

このアンナの言葉に指名された4名は(エーーー!!!)と言う顔をしてアンナの顔を向きます。

「王家の訪問の後から始めたいとおもっています」

「3聖女の皆さんが両巨頭の邸宅に招待されているからと言えば、これらの招待の方もしばらく待っていただけるのでは無いでしょうか?」

地獄の鬼教官が始動しはじめています。

(またあの大邸宅へ行けって……)そう考える3聖女とトリーです。


ということでアンナは今度はクロノ司祭の方を向いて

「クロノ司祭様、お聞き及びとおもいますが、このトリーの聖女昇格の件についてです」

「先ほど三聖女の皆さんの推薦も取り付けましたし、トリーも決心したようですので(命令にはさからえません)昇格試験の手続きの方よろしくお願いします」

「ベアトリス様、キラ様のところに教師としていくのですから、見習いでは相手の聖女様に失礼とおもいますのでお急ぎくださるようにお願いします」

アンナは次々と指示を出していきます。


「わかった そのように手配しよう」もはやクロノ司祭はアンナに従うのみです。

それを聞いてメラノ侯爵

(やっぱりこいつは魔女だ)開いた口がふさがりません。




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