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アンナの旅  作者: mega
34/62

相談

 メーセン邸から帰る馬車のなかです。

聖女達の馬車のなかでは

「やっと終わったわね」

「緊張しっぱなしで、もう何もかもつかれました」

「でもアンナが対応してくれて助かったわ」

「すごいお屋敷ばかりで目ががくらみそう」

その豪華さに圧倒されっぱなしです。

聖女達の馬車では、ようやく終わったという安堵感につつまれています。


 しかし、メラノ侯爵達が乗る馬車の中は、うまく乗り越えられたという安堵感はありましたが、

みんなだまりこくっています。

聖女達は ただ人を助けるということだけをしていただけです。

良いことをしてください。勇気をもって前に進む事さえ忘れなければ、道は開けていきます。

悪意というものは所詮底が薄い物で、善意というものは、実はもっと強いものだからです。


二台の馬車はメラノ邸に戻りました。

玄関には踏み台が用意されており

護衛係のケルンが馬車のドアを開け、手をとって次々と聖女達を下ろしていきます。

一番目が見習い聖女のトリーがおり、三聖女とアンナが降りていきます。

トリーはアンナが降りるときまで、馬車降り口で待機しており、アンナが降りて歩き出すまで

ひかえています。

全員が降りてメラノ邸に入るときに、トリーはケルンに小声で声を掛けます。

「後でちょっと会いたいので入り口に来てほしい」と伝えるのです。

ケルンはその言葉にもうドギマギしているのです。

そうでしょう、アンナ伯爵家で一緒に仕えていた幼なじみのあいだがらで、競技会まではいつも

気軽に冗談などもいう間柄だったのですが、今回の競技会そして、メラノ邸でも磨き上げの数々、見習い聖女服ですがその着こなし、言葉遣いなど、いままでのトリーとは見違えるほど変化しはじめているのです。

簡単に言ってしますときれいになってきているのです。


聖女達の食事の後

入り口の所でトリーが待っているところに、ケルンが来ました。

ただすらりと立っているトリーのすがたに、見とれるかのように近づいていくと

トリーは一つの部屋をさししめします。

それにケルンはついて行くと、その部屋では二人きりです。

椅子が数席ありそこに座ると、トリーは話し始めます。


「相談したいことがあるんです」

「どうしたんだ」と前ならそれに付け加えて聖女様と半分冗談をいうくらいなところなのですが、

もうその姿を見ていると、その不安そうな姿から、おれがトリーを守りたいと言う想いでしょうか

綺麗になってきているトリーに、不思議な思いがこみあげてきているのです。

「どうしたんだ」とトリーの手をとったところでトリーが話します。

「もうすぐクロノ司祭さまがこられるので、そこで話します」

と言うがそばにドアをノックする音がします。

「クロノだが入るよ」と声がします。


ケルンは、握っていたトリーの手を引くと同時に、ドアを開けてクロノ司祭がはいってきました。

(柔らかい手でもう少し握っていたいかったな、近づいた時のトリーから醸し出す化粧の香りにもうドキドキがとまりません。)


クロノ司祭がトリーの前の席にすわると話し出します。

「ご相談したいことがあります。司祭様」「アンナ様のことです」

クロノ司祭は、やっぱりという顔をしています。

ここまでどれだけ驚かされた来たわけですから、今度はなんだろうかと思っていると


「アンナ様が私に聖女試験を受けるように言います」

クロノはうんうんとうなずきながら聞いていると

「まだ見習いも10日くらいですよというと、トリーなら合格するからと言われ、能力に期間は関係ないといわれたのです。命令よ! ともいわれました」

「なるほどよくわかった。競技会のあまりの急展開にこちらもついて行くのに必死だったから、もう何をいわれても驚かんよ」

「トリーがホントに聖女様になるんだ」

その声と同時にケルンはトリーが遠くに去って行くのではという思いがわきおこります。


「ただアンナ様から言われたことをやってきただけです。それがまさか」

その言葉には困惑だけです。

(聖女様とは多くの人から仰ぎ望まれる存在で、私のようなぽっと出がなれるとは、なにかその重さというかなんというか)その重圧で押しつぶされそうなのです。


「聖女昇格試験について簡単に話すと、昇格には3人以上の聖女の推薦が必要であること、そしてその能力を試す試験がある。今回の競技会のようなものと思えば間違いないと思う」

クロノはそう説明します。

「その試験なんだが、まず推薦がとれないもんなんだ。また力量試験までたどり着けない人も多い

見習いから昇格できるのは、やはり少ないんだ」


「だがね、あのアルク邸とメーセン邸で聞いた話、そして魔物退治の件での働き、アンナがトリーさんを推薦するのもわかると思う」

「でもだね、トリーさんの聖女昇格にはもっと深い意味があるんじゃないか、自分にはわからないが」

そしてクロノはさらに


「トリーさんは全部みえてるんだろ?」

トリーはその問いに、コクリとうなずきます。

そしてたたみかけるように

「できるんだろう?」

「はい……」トリーはか細い声で答えました。


クロノは天を仰ぎ思います。

(だとすればおそらく三聖女レベルそれに近いだろう。前回の競技会の優勝聖女を上回る、そんな存在がそれも次から次から、アンナは何をしたいんだろうか?)

(そしてこれから北部のベアトリス、南部のキラを訓練するわけか)

(もしトリーが聖女になったら大変な事になるな。いま東地区の聖女達は一番の注目になっている

それがもう一人増えるなんて)


「わたしはどこへも行きたくありません」とトリーはケルンを見て強く言います。

「まあそれを決めるのはあなたの主人のアンナ様だよ。そしてまだ聖女にもなっていないわけだし

またアンナ様が変なことをするとは思わないよ、今までのことをみてるとそう思うから」

「あれのモットーは、苦しむ人を助けるその一本だからね」

「まあ心配するな、何かあったらまた相談にのるから、大丈夫だよ」

と不安になっているトリーをクロノ司祭は励まします。


「自分もついてるから、いくらでも言ってくれ力になるよ せ、い、じょ、さ、ま」

ケルンはトリーの肩をトントンと叩きながらいいました。

「まだ聖女じゃない、見習い!!!」

トリーは少し元気が戻ってきたようです。

さてこのような話で終わった後、ケルンにトリーを部屋まで送るようにいって

クロノ司祭はメラノ侯爵とデント執事の部屋に向かいました。

今回の相談の報告です。


「先ほどのトリーの相談わかりました。アンナ様が従者である見習い聖女を聖女に昇格させるということでした。すぐにその話が出るでしょう」とクロノ司祭

「アンナ様はまた何かを、それよりもこの招待状を」とメラノ侯爵は招待状の山を前にして

デント執事をむきます。

「つぎつぎと招待状が舞い込んでいます。これでもしもう一名聖女様がふえたとなると、どうなることやらです」デント執事もこの展開に目が回る状態です。


「それから、アルク大公とメーセン宰相から今回の訪問での贈り物がおくられてきました」

あまりにもその豪華さに目をむくような大変なものばかりです。

あの人達では当たり前なのでしょうけど

そしてその多くの招待状の中には、一目で目を引く豪華な王家の招待状がありました。




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