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アンナの旅  作者: mega
33/62

メーセン宰相邸

 大公邸を退出してメラノ邸に帰る馬車の中で、メラノ侯爵は腕を組んでうなっています。

(そういうことがあったのか、これでよくわかった)

同じようにクロノ司祭も

(これでよくわかりました。招待の理由が)

もうその後二人ともずっと黙りこくっています。

メラノ邸に帰還しました。

簡単な昼食が用意されており、それが終わると、次は午後のメーセン宰相邸の訪問です。

聖女達は、メイド達による衣装や化粧などがおかしくなっていないかのチェックを終え 出発しました。


「では出発いたします」

との御者の声で、馬車はゆっくりとメラノ侯爵を出発していきます。

メラノ侯爵邸前を出発すると、すぐに左に曲がって行きます。

右に曲がったアルク大公邸と反対の方角です。

メーセン宰相邸は、王城を中心として、アルク大公邸の反対側にあります。

つまり王城を中心として、北部アルク大公と南部メーセン宰相が、バチバチとにらみ合っている構造なのです。


王城のそばを通り抜けると宰相の館が、アルク大公邸とかわらない規模で見えてきました。

その大きさにまたも聖女達は驚きます。

「すごいアルク大公様の邸宅に劣らないほどの邸宅ですわ」

「連続でこの大邸宅に招待されたわけですのね」

「メラノ様がこれほどなされるのもよくわかります」

先頭のメラノ侯爵の馬車は、進んでいきます。

そして宰相館の正門前に馬車は到着しました。

やはり同じ様に門番がひかえており

メラノ侯爵の馬車が到着すると


「ようこそお越しくださいました。メラノ侯爵様」

そう言うと門をあけられ、馬車を邸内に招き入れます。

この邸宅も門から相当な距離があり、その中を馬車が進んでいます。

「きれいな庭だこと」

「見たことも無い様な木々が植えられているわ」

その庭園に植えられている木々や像などの装飾物などは、やはり裕福で名だたる南部メーセン宰相の財力を表しています。

訪問者にアルク邸とは別な畏怖をおこさせるほどの大邸宅なのです。

(すがにメーセン宰相、なんという財力なのだろうか)

メラノ侯爵は車中でそう思います。


ようやく宰相邸の玄関に到着すると、大公邸と同じ様に、メーセン宰相の執事が従者と入り口で待っていました。

「メラノ侯爵様、よくぞおいでくださいました」

「こちらへどうぞ、メーセン宰相がお待ちです」

執事が案内を始めます。

一行は、その執事について歩いていきます。

メラノ侯爵も、執事の後に続きながら

(ここがメーセン宰相邸か、この内装などなんという財力なのだろうか)と思っています。


この2大巨頭がそりが合わないのは、二つの邸宅をみてよくわかるのです。

北部アルク邸は豪華ではありますが、多くの聖女達を輩出しており、長い年月が生み出す歴史と上品さを持っています。

南部メーセン邸は、歴史は北部には劣るとはいえ、その経済力による新興の力を感じさせるます。甲乙付けがたいものです。

(立つ位置が異なるので、仲が悪いのはわかる気がする)

メラノ侯爵はそのように感じています。


 執事は一行を連れて、応接の部屋に到着しました。

やはりそこには同じ様に、メーセン宰相とキラ聖女が待っていました。

キラは当然聖女服ではなく、見事なドレスで待っていました。

さすがに宰相の令嬢です。

ベアトリスとは異なる意味の華麗さ一目で感じる物です。

ベアトリス聖女と同じ様にその容貌には強さを感じますが、宰相がよりをかけて磨いてきたことがわかるベアトリスとは違う意味でその美しさを感じる物です。

あでやかな華麗なる名花とでももうしましょうか、まさに両者対照的とも言うべき美女といえます。

宰相が息女としたのもよくわかります。


 部屋で待っていたメーセン宰相より

「メラノ侯爵殿、ようこそいらっしゃいました」

「メーセン宰相様、本日はお招きいただきありがとうございます」

と同じ様に答えます。

来客にたいしてはメーセン家の執事より各訪問者に席を勧めていきます。

「では失礼いたします」

とメラノ侯爵以下のは執事達が順々と勧める椅子に座っていきます。

その席次はアルク邸の時と同じくクロノ司祭、アンナ、サンディ、ベル、ノルとなり最後はトリーです。ケルンとデント執事は入り口で待機しています。


やはりアルク邸の時と同じ様にアンナの席の位置は、メーセン宰相とキラ聖女の真ん前に用意されています。

「それでは、まずはお茶を用意しておりますから」

という執事の説明に続き、着席した各人にお茶とお菓子が用意されました。

それが行き渡ったところで、メーセン宰相から、話を切り出します。


「メラノ侯爵殿、メーセンの招待に早々とお越し頂きありがたく思います」

「今回の競技会おいて、東の皆様特にアンナ様より特別のご配慮をいただいたとのキラより話を聞き、是非一度お礼を述べたいと思い ご招待したしだいなのです」

と目の前のアンナの方を向いて話します。


まず、メラノ侯爵に対してアンナは

「メラノ様、この件について私からお話してもよろしいでしょうか?」と問いかけます。

メラノ侯爵はもう前回でわかっていますので「ではお願いします」と答えます。

「宰相様お人払いをお願いいたします」

宰相手の指示で宰相家の執事達が退出し、メラノ侯爵の目配りでデント執事と護衛係のケルンも部屋より退出します。

部屋には前回と同様に、メラノ侯爵とクロノ司祭と三聖女とトリーそして、メーセン宰相とキラ聖女しかいないことを確認するとアンナはゆっくりと話し出します。


「まずはっきりさせたいことがございます。今回の競技会のキラ様は、惜しくも僅差ではありましたが、二位で間違いはありません。これはハッキリさせておきたいと思います」

メーセン宰相は安心したような感じでうなずいて聞いています。


「あの競技会前日の、私たちの緊急治療に遡ります。このときに力を合わせると重傷の患者を治療することがわかったのです」

「競技会趣旨からは一人で治療といわれておりましたので、一人一人で治療は行なっていったのですが

最後の重傷な患者は一人では助けることができないとわかっておりました」

「それ故、4人の祈りの力を合わせると治療が可能であるとわかりましたので、治療をあのような形でおこないました」

その言葉に3聖女達もそうだと言うように無言でうなずいています。

「キラ様もあの治療については、おわかりになった思います」

「それはよくわかりました しかし」

とキラが話を続けようとしたところで

アンナがそれを遮るかのように


「でも私たちだけがそれを行なって、ベアトリス様キラ様にそれを行なわないのは、フェアではありません競技会の趣旨から反します」

メーセン宰相はそれはそうだという感じでうなずいています。


「ですから最終日に残られた3名に同じ様な祈りを重ねるべきと思い、その様な行動をとりました。」

「私の結果は、キラ様に及んでおりません。残念ながら僅差でありましたが二位であったのは間違いないのです」


「ですが………」そう言いかけたキラに

「キラ様、二位ではありますが、あの重傷者を助けることができたのはキラ様の力です。まちがいありません」

それを聞く3聖女はそうだと言うように、無言でうなずいています。

「キラ様はすばらしい仕事をなされたのですよ。あの重傷者はいのちを取り止めるはずです」

「人は何を行ったかで評価されるものです。そうではありませんか?宰相様」

話を振られた宰相は

「それはそうだ」

と答えます。


「いくら良いことを思っても、実行しなければ恩賞はだせません」

「またいくら悪いことを考えても、実行しなければ罰などあたえらえられないものです」

「思っただけで捕まえておれば、牢屋がいくつあっても足らないものだな」

それは当然だと言うように宰相は答えるのです。


「思うことこれを妄想というものです。これで多くの人が苦しんでいます。そんなものは存在すらしていないものなんです」

「なるほどキラが残念で二位ではあったが、死ぬかもしれない重症患者を助けたことは、賞するにふさわしい成績であったとアンナ様はおっしゃりたいわけですか」

と宰相


「そのとおりなのです。私たち聖女は苦しむ人を助けるこれが第一なのです」

三聖女とトリーはそうだと言うかのようにうなずきます。

それに続けてアンナは話します。

「これらの方法は今後公開する予定でおります」

アルク邸の時と同じ様に

「今回のキラ様はなにもない原石の状態であの成果を上げられたと思います」

「この方法で教練されれば、より多くの苦しむ人を助けられる方になれると思いますがいかがでしょうか」

キラの目には薄くなみだを浮かべながら答えます。

「お教えいただけるならご教授ください。そのような聖女になりたいと思います」

「では用意いたしますので、用意でき次第ご連絡いたします。しばらくお待ちください。」

メーセン宰相は思います。

(まったく感服いたした。キラのみならず、我がメーセンの名誉までも守ってくれたとは、大変な借りができたぞ)


最後に

「あの緊急治療で私たちが復活したのは、私たちが開発したポーション(薬)の助力によるものでした

これについても、メラノ侯爵さまのところで製造致す予定でおりますのでご活用ください」

ここでもアンナはちゃっかりとポーションを売り込んでいます。

このような話のなかで、メーセン宰相邸の訪問は終わりました。






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