クロノとマーチ
そのあと、この二人の司祭は小さなテーブルに向き合って話し始めました。
マーチ司祭は食後のお茶を入れながら、
「ひさしぶりだね」
「ああ教会学校卒業以来だ」とクロノ司祭は挨拶をかえします。
「ところで、先ほどの話なんだが、あの言葉だよ、そうだねあれを聞いてちょっと驚いた」
「実は昨晩なんだが、アンナ聖女が不思議な歌をうたっていたんだ この古い言葉だと思う」
「以前からアンナはよく知っているが、その様なそぶりは全く無かったんだ」
「今回の競技会も本当は姉が候補だったのに急病で急に決まったんだ」
「能力は候補生に毛が生えた程度でと言っても、他もそれと言った能力のある子はいなかったし、
まあ有力者の家筋だからという事で、姉の代わりという立場だったんだがね」
と一気に事情を話しました。
「この競技会は大方結果は決まっているとの噂だったから、気は楽だね まあ王城見物くらい
だから、送り出したということだね」マーチ司祭は状況をよく知っているようです。
しかしクロノ司祭は
「まあそういうことなんだが、なにかがおこってるんだ? 古代語の歌い手、その使い手、貴重なセイントの発見者、いままで聞いてないことが次々起こってる」と困惑した表情です。
「大変だろうが、考えすぎだ。送り出せばまあ終わってしまうだろ」
「まあセイントアンナの家は古いから、なにか古い伝承でもあったんじゃないか」
とマーチ司祭は責任者でもないので、気は楽です。
「そうだな まあ本当に貴重なセイントの発見があったのだから、お手柄とほめてもらえるんだからそれでよいのだな」クロノ司祭は自分に言い聞かせるように話しています。
「それでセイントアンナになにか変化があったのか?」とマーチ司祭
「そうなんだが、さきほど話した通り態度も何も変わっていないのにあの言葉だ」
「うーん困ったものだな」
とマーチ司祭の言葉に同意するようにクロノ司祭はゆっくりうなずきます。
マーチ司祭はその古い言葉について少し考えて、そしてなにかを思いついたのか話を始めます。
「王城についたら教会学校の先生にあってみたら、あの言葉についてよく知っているだろうから」
「古語を研究をしている人だから、何かわかるかもしれないな」とクロノ司祭
「じゃあ一応経過と紹介の手紙を書くよ」
「そうしてくれ頼むよ」
その日の夜は更けていきましたが、この後も二人は夜遅くまで何やら話しこんでいました。