表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンナの旅  作者: mega
23/61

競技会2日目

 話終えたのと同時に奥の方から

「朝食の用意が出来ました」と係の人の声が聞こえてきます。

「あっ もうこんな時間。行きましょう」

とアンナは席を立ち4人はそれについていきます。

食堂に着くと、食事の支度が整った所でした。

アンナ達はすこし離れた上座に案内され座り、そしてみんなの方を向きます。

ではご一緒にいただきます。

「いただきます」と唱和して一斉に食べ始めます。朝食はパンにスープです。

食事がおわるころ、「本日会場へ向かわれる方はご用意ください」と声がしました。


アンナも自室に戻っていき、聖女達もそれぞれ自分に与えられた部屋に戻ります。

しばらくして、準備ができたようなのでテラスに集まりました。

「今日も清々しい朝ですね、さあ行きましょうか?」

アンナの声に聖女達はお互いに顔を見合わせて、大きくうなずいて出発します。

馬車が用意して待っています。

そこには、クロノ司祭とケルンが馬車のまえで待ち受けています。


「おはようございます」

5人とも元気よく挨拶を交わしていきます。

「皆さん、お早かったですね。昨夜はよく眠れましたか? さあこちらです。どうぞ」

そう言ってクロノ司祭は馬車の中へと招き入れてくれました。

「さあお乗りください」

ケルンに介助されて聖女達は乗り込みます。

最後はアンナです。

「今日は欠席したいという聖女様が出始めています」

とクロノ司祭は小声でアンナに連絡しました。

「やはりそうですか」

(選りすぐりの聖女が集まっているとはいえ、力が枯渇し始めている人が出ている)

「キラ聖女、ベアトリス聖女は問題なく今日も参加されます」

(さすがに両者は優勝候補ですね)アンナは微笑んでいます。


「では出発いたします」御者の声が聞こえ、馬車はゆっくりと動き始めました。

窓の外を見ると、見送りの人達が手を振ってくれています。

アンナは笑顔で手を振りかえしています。

しばらくすると王城が遠ざかっていきます。

そのあと、5人は会話をしながら競技会の会場に向かいました。

馬車の中では聖女達で何事かが話されています。


会場についた5人は、まずは待合室で待機です。

トリー聖女は付き添い扱いです。

「今日は軽い症状の患者の担当分は昨日で終わっていますので、もう少し難しい患者にトライすることになるだろうと思います」とアンナは方針を話しました。


「昨日は驚くほど早く治療ができましたわ これもアンナのおかげですね」

「これなら今日も相当行けるんじゃない」

「でも昨日のようには行かないでしょうから大変ですよね」

三聖女はそう言いながらアンナに従って患者の治療室に向かいました。


治療室の前に着くと、しっかりとした面持ちで扉を開け、4人の聖女はおのおの「おはようございます」挨拶をします。

扉をあけるとそこには、本日患者を治療する聖女、医師などがもう集合していました。

「遅いですわね」という声がありました。

声はキラ聖女です。「待ちくたびれましたわ」となにかイライラするような口調です。

それに対してアンナは「遅くなり申し訳ありません」と笑顔で答えます。


 全員が集まったところで担当医師から説明があります。

「ようやくお集まりいただいたようですので、本日2日目の説明を簡単ですが行ないます」

「お気づきと思いますが、聖女様の数が減っております」

「1日目の状況は多くの聖女様は、軽傷者から順々に治療されておられました」

「まだ軽傷な患者の治療が終われない方や、2日目は参加されない聖女様もおられます」

「ここにおられる方々は、一日目の治療を終えられて、次のより重い治療に向かわれる方が集まっておられます」

「1日目の治療が終わられない方は、前日の病室へ向かわれております」

「では本日もよろしくお願いいたします」

との説明でした。


「ではみなさん参りましょう」とアンナが言い、4人で移動を始めました。

病室に向かう途中で急にベアトリス聖女がアンナの所に近づいてくるのです。

そして 

「聖女アンナあなたが本命の聖女の一人だったのですね」

「まさかあのようなことが可能とは、ですがわたしにはまだまだ王妃様から教えていただいた方法がありますから、負けるわけにはいきませんわ」

「一位になるのはわたしです」

そう言うとプイと踵をかえして、アンナの前から立ち去るのです。

(なにかが違っているんじゃないだろうか、そうじゃないとおもうんだけど)

アンナはそれを聞き、困ったような顔でたちすくんでいます。


 たしかにベアトリス聖女は多くの中から見出され、北部公国の大きな期待を込めて送り出され、始まる前から優勝はこの子だろうとの大方の予想がでていました。

対抗は南部推薦のキラ聖女であるが、王妃様から直接に伝授されてきた自分なら、優位は揺るがないと思っていたのです。

昨日までは、

だが昨日の東地区の4人の行動でその考えが一変してしまったのです。


(ベアトリス聖女の昨日の回想)


挿絵(By みてみん)

 

各病棟を見回った後、まずは簡単な患者から治療を始めるという方針は王妃様から教えていただいた定石のひとつ、ほとんどの聖女達が治療を開始したのですが、ほぼ一瞬で終了できてその結果に予定通りねと考えていました。ライバルと目されるキラ聖女もほぼ同じ様なスピードで終えている状況をみて、やはり今回の相手はキラ聖女と思っていたのです。

 その他の聖女達をみても、たしかに普通の聖女よりは力があるようですが、もっともっと時間がかかっており、疲れた顔をみせている聖女達がほとんどです。


挿絵(By みてみん)


さすがにキラ聖女、治療を終えた後わたしをキッとにらんで控え室に去って行ったのです。今日は手始めですし、体力を温存する意味もあり、本日の治療はこれで終わりと宿舎へ帰ったのです

しかし



挿絵(By みてみん)


病院の残っていた連絡係より、宿舎へ緊急の伝言がはいったのです。


挿絵(By みてみん)


「一昨日重傷患者を緊急治療し、ぶっ倒れた東地区の聖女が本日遅くに病院に現れたという報告」

「次に、それも治療を終えて何事も無く帰って行ったという報告」

「その次に、そのぶっ倒れたハズの東地区4人聖女の治療のスピードは非常に早かったという報告」

考えられない事態が生じているという事が直感できたのです。


挿絵(By みてみん)


(重体である患者を緊急治療してぶっ倒れた聖女がこんなに早く復帰するなど聞いたことが無い事、

ムリよ)

(それも翌日私たちと同じ治療ができて、かつそのスピードが早いなどと言うことは考えられない)

(回復薬はひらめいたけど、ベアトリス聖女は薬草の知識も高く、それがどの程度かはわかっているのでそれは考えられない)(東の聖女達がそれほどの能力を持っているという話は聞いたことが無い)

競技会の誰もが東の聖女達は、前回は最下位であり今回も参加するだけの聖女と思われてきたのです。


挿絵(By みてみん)


 そして最後に北部公国の宿舎に驚愕の情報がもたらされました。

「東地区の聖女達が、この競技会への道中において、魔物と遭遇し討伐した」

との情報が飛び込んできました。(いつのまにか討伐したことになってる)

「それを討伐したアンナ聖女は、その地で弓の聖女、アルテミスの再来」と言われていると 

(これは東地区を率いるアンナ聖女が全てだと直感がひらめいたのです。)

とんでもない化け物の聖女があらわれたと理解できたのです。


挿絵(By みてみん)


いままで悠然と構えていたベアトリス聖女の心に、暗雲と不安がただよっています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ