病院
病院の東地区控え室です。
「いよいよですね」とベルが
「そうですね」とサンディが
「なんだか、わくわくしますね」とノルがいいます。
「皆さん、頑張りましょう」とトリーが元気に声をかけます。
「そうね頑張るわ」とアンナも笑顔でこたえます。
4聖女とトリー見習い聖女は控え室を出て、部屋に案内されました。
少し広いごく普通の部屋でしたが、清潔感があり落ち着いた感じの部屋でした。
その部屋にはすでに他の地区の代表聖女達が来ていました。
皆それぞれかんたんに挨拶を交わします。この部屋では自己紹介はしない事になってます。
それから間もなくして開始を知らせる鐘が鳴り響きます。
それと同時に病院の責任者のナターシャ様(聖女)がやってきました。
「本日はようこそおいでくださいました。私が責任者のナターシャと申します」
「本日は初日ですので、現在の状況を見学なさってください」
「今から病院の設備の説明を致しますので、お聞きください」
さすがに責任者です。非常にテキパキと説明していきます。
つぎに治療手順について説明があります。
「明日からは実際に一名ずつ治療を行っていただきます」
「本日は担当する患者を決めていただければと思っております」
「おそらく一日に聖女様ひとりに一名の患者の治療になろうかと思っております」
「また、今回患者の治療方針は、聖女様個人にお任せいたします」
「明日からの治療つきましては、病状のカルテがあり、おのおの患者担当の医師、聖女がおりますので、その方と病状をお聞きください」
「治療結果につきましたら、治療終わりしだい担当医師、担当聖女がその結果を判定することになっております」
以上大方の説明が終わり、各聖女達は実際に明日からの競技の為に病室を見回ることになりました。
優勝候補のベアトリス聖女は、仲間の聖女達を引き連れて病室をみまわりますが、簡単に病室をいちべつして引き上げます。
患者の情報なども事前に手に入れている様子で治療方針も大方決まっているのでしょう。
これも常勝している余裕を感じさせます。
廊下でアンナ達が患者を見て担当医師と状態を話していますと、
早足で歩いていた聖女と肩があたりました。
「どいてちょうだい、邪魔をしないで!」
「あ!ごめんなさい」とあやまると
当たってきたのは、対抗と目されている南部地区のキラ聖女です。
なにか焦っているようなかんじで、余裕がありません。
謝りもせず去って行きます。
「感じわる。なによあれ」とベルはちょっと怒っています。
「きっと、ライバルに抜かれるのが怖いのよ」とサンディ
「だから、あんなにイライラしてるのよ」
「そうよね、でも私も気をつけるわ」ノルもそう言います。
アンナはそのキラの態度を見て思います。(なにか焦りがあるようだけど?)
アンナはその態度になにか違和感をかんじています。
大方の患者を見回ってみて、アンナ達は控え室に戻りました。
今後の方針について話し合いです。
「患者の症状は様々ですね、程度によって大方分けられているようですけど」
「症状が軽い人なら、なんとか治療できるでしょうが」
「重体の患者は、おそらく私の力では無理だろうと思います」とサンディ
3聖女ははじめからあきらめ顔です。
今までの経験から、患者の容態を見れば、自分がなおせる能力を持っているかがわかり、重体の人の治療は無理なことが感じ取れるのです。
「私たちの治療が一番必要な人は、重い症状の患者なんじゃない?」
「軽い人は、そのままでも時間さえ掛ければなんとかなると思うから」とアンナは言います。
「でも今回の競技会としては、軽い人から始めて実績を着実にあげる方が、間違いないと思うけど」
「地区の代表なんだからそれなりの成績は出しておきたいし」
(重体の人を始めに手がけると、おそらく後数日間動けなくなると思うはわかるんだけど…)とアンナ
3聖女は自信が無い事がわかる話しぶりです。
治療は聖女の体力を大幅に消耗させるのです。
そのため症状の重い人の治療にその力を最大限まで使用すると、もう治療を続行することすらできなくなってしまいます。
回復薬などもあるのですが不味く、その効果もあまりなく高価でもあり、聖女達は使いたがりません。
「いままで限界まで治療したことは?」とアンナは3聖女に問います。
「無いです」
「あのレベルの患者は扱ったことがありません。無理だと思うので」
「でも苦しんでいる人を助けたい思いはあるけど」
みんな及び腰です。
(みんなはその力がどれほどあるか知らないみたい。それはギリギリまで使うことでわかるものだから……)
「もっとできるように、とは思うのだけど」
「聖女は多くの人の希望と期待を持った人だと思ってるから」とアンナは告げるのですが
「理想はそうなんだけど……」ノルはやっぱり不安そうです。
そのような話が行なわれています。
北部、南部の聖女達は視察を終え、早々に帰り始めています。
「一応治療方針については帰ってからもう一度話し合いましょうか、最後にもう一度患者の皆さんを見てから宿舎へ帰りませんか」とアンナは提案しました。
3人はうなずきます。特に意見はなく、ただ帰る前にもう少し見学していこうと思っただけです。
4人は部屋を出て病室に向かい、付き添いのトリーもその後から着いていきます。
患者の付き添いの聖女達と簡単なやりとりをしながら、症状の重い患者の前にさしかかったときです。
急にその患者が「ゴホ、ゴホ」と大きく咳き込みだし、苦悶の表情をしたかと同時に、口から鮮血がほとばしります。
喀血したのです。
容体の急変に担当の聖女達は驚き、硬直しています。
アンナ達4人もその患者の状態をみて、目を見開きます。
付き添いの聖女達の顔色が変わります。すぐに対処をしないと危険な状態です。
しかし、この緊急事態に対処できる聖女はいません。まず自分たちの能力では無理だからです。
アンナは躊躇無く患者に小走りに走り寄ります。
患者のベッドは鮮血に染まっています。
そして3聖女の方を向いて叫びます。
「サンディ、ベル、ノル、来て!!!私たちですぐに対処します」
眼の前にいる重症者を前にして アンナはそう強く叫ぶのです。
「でも……」ノル達は動けません。
ここにいるのは東地区で選抜されてきた優秀な聖女達(サンディ、ベル、ノル)は、付き添いの聖女よりは能力があるはずだからです。 そして、アンナが旅の途中で教えたことが、積み重ねる事で少しずつ彼女達を変化させてきているのに気がついていないのです。
でも以前、重症者を治療してきた経験から、あまり芳しくない事実があるので尻込みしているのです。
過去の恐れと不安がその人を殺してしまうのです。
「力が必要ね。4聖女でやってみます」
アンナは患部に手を当てましたが、変化はありません。
アンナはさらに大きな声で指示をだします。
「私の手の上にあなたたちの手を重ねて!!!急いで」
サンディが手を重ねて2人の手が重なり、ベルも重ね、3人の手が重なった上に、ノルの手も重なった。
苦しむ患者の周りに立つ4聖女、その4本の手が重なったのです。
「さあ始めましょう!」
一人ではその力はまだ弱く、サンディ、ベル、ノルの力を加えると次第にその力は増加を始めます。
しかしまだその力は患部を治すところまでは足りません。
(まだ足りないわね)
ここでアンナは本当の力を出し始めます。
「力がどんどん出てる」
「わたしも感じる」
「えーーー!?」
3聖女の声に驚きが入り始めました。
(流石に東地区よりすぐりの優秀な聖女達ね)(本当の力が現れはじめてる)
「わたしも感じるわ、さあみんなで力を合わせてそこに最大の力を」
アンナはその力を先鋭化して全員の力をその当てるべき箇所に送り込んだ。力の調整者アンナ
「変わりだしたわ」とベル
「なんとかなるかも、でもなにこれって」とサンディ
「でも今までになく出てる、どんどん出てる、もう無くなりそう」とノルも
「あともう少し、私達が倒れても、この人は助かるわ。最後のあともう少し」
とアンナは叫びます。
聖女達はあるものはのけぞり、あるものからは悲鳴ににた声が上がるのです。
「あの4人、集まって何してるんだ」
「おい光りだしたぞ。4人を取り囲むように」
その光は一瞬で消え、そして




