開会式
今日は競技会開会式です。その後セレモニーが控えている予定です。
開会式は王城の玉座の間で行なわれ、一段高いところに王と王妃の席があります。
今回の競技会に参加の聖女達は、その御前に一地区4人を一組として4地区(北部、東部、西部、南部)の合計16人分の椅子が4人を一組として並べられています。
其の後方には、各地の有力貴族や其の婦人達がそれを取り囲むように立っています。
王から見て右手には北部代表の聖女達、その後ろにはその最前列に北部アルク公国のアルク大公
左手には南部代表の聖女達4人、その後には南部メーセン公国の宰相が立ち、この2大公国を取り囲むように多くの取り巻きの貴族達が立っています。
中央には、東部と西部の聖女達各4人、其の後ろにはメラノ侯爵の姿も見えます。
このような配置となったのは、この2大公国は仲がわるいので、
王家としても離しておくという配慮を取らざるを得ないという意味合いがあるのです。
聖女達は正式な聖女の服装で着席します。
各地域の聖女は、見分けをつけるために北部は黒、東部は青、西部は白、南部は赤色のリボンを胸につけています。
聖女達が入場して、おのおの席の前に立ちます。みんな緊張の面持ちです。
全員がそろったところで、儀式の進行係が大きな声で告げます。
「国王陛下ご夫妻が入場されます」
その声で、小声で雑談していた貴族達は話をやめ、玉座を向きました。
そして王様と王妃様が護衛騎士などの警護の者達を引き連れて入場し着席しました。
「聖女様着席ください」と進行係が告げます。
聖女達が着席したところで
「王より競技会の開会の宣言をいただきます」と進行係が告げます。
王は前に座る聖女達、そしてそれを取り巻く貴族達をぐるりと見回し、競技会の開催を宣言しました。
「本日は各地の聖女達が遠くよりこの王城に一同に会したことは非常に喜ばしく思う。これより聖女競技会の開催を宣言する!」
この宣言に応ずるように、式に参加した貴族達から、盛大な拍手がわきおこりました。
次に各地区の聖女の紹介が前回の優勝地区よりおこなわれます。
進行係が一礼して進み出ます。右手の方向を向き
「北部地区代表 ベアトリス聖女様」そう呼ばれると、
ベアトリス聖女は立ち上がり壇上の玉座に会釈します。
やはり優勝候補です。その態度は堂々としており、余裕と自信がその動作から感じられます。
このようにして北部地区の聖女4人が紹介されます。
紹介ごとに拍手が起こります。特に北部地区の貴族達の拍手は一段と大きいものでした。
北部地区の紹介が終わました。
進行係はさらに左にむきなおり
「南部地区代表 キラ聖女様」と同じように紹介されます。
やはり今回の挑戦者候補とみられているので、その態度はキッとして北部に対抗する気持ちがその動作に顕れています。南部地区の貴族達も北部に負けない勢いで拍手をしています。
「西部地区代表 カリーナ聖女様」と紹介され紹介が続きます。
最後が「東地区代表、アンナ聖女様、サンディ聖女様、ベル聖女様、ノル聖女様」と紹介されます。
一応この会に参加した貴族達からの拍手はありましたが、儀礼的でやはり北部、南部の時とは勢いが違います。やはり弱小地区はこういうものです。
メラノ侯爵は、北部と南部の代表聖女の服装が少し違っているのに気がつきます。
それをクロノ司祭に質問すると
「あれは、王城の大聖堂で聖女となり、特に優れた聖女と認められている聖女が着る聖女服です」
と答えたのです。
メラノ侯爵は、それを聞き
「王城付属の大聖堂、お墨付きか」と相当差があることを思い知らされたのです。
それを見てデント執事は、
「弓の聖女様にきたいしましょう」と励ましましたのでした。
始まる前から、心で負けてしまえば良くないことをデント執事は良く知っているのです。
この紹介の順番は、前回の競技会の順位を参考にして決められており、東地区は前回最下位だったということです。
そのあと進行係より、今回の競技会の日程が発表されます。
また、競技会の判定者としては、国王、王妃、教会の大司教、貴族代表、そして王太子が参加されると発表がありました。
「なるほどそういう事か」この発表を聞いて多くの貴族達は、(王妃様は聖女出身とすれば王太子の伴侶候補を選定する意味合いがあるのでは)という考えを持ちました。
(やはりそうか)
進行係より
「競技会の会場は、この王城のそばの病院を予定しており、聖女様達はそこへ馬車にて毎日移動していただくことになります」と説明がありました。
「本日は、聖女様達には今よりまず病院を視察していただき、明日より会を進行する予定です」
このような発表がおわると
「国王陛下が退場されます」と進行係は宣言します。
国王は玉座より立ち上がり、王妃と護衛の騎士などを引き連れて退場となり、開会式が終わりました。
「では聖女様はお集まりください。各地域に一台ずつ馬車を用意しておりますので、順次乗り込み会場へ移動ください」と伝達がありました。
「それでは皆様、これから馬車で移動いたします」と進行係が言いました。
アンナ達東の聖女は用意された馬車にむかったのです。
4人が馬車に乗り込むと、トリーが見習い聖女の服装で馬車の中で待っていました。
それを見つけた赤毛のベルは
「あ!トリーさん」
うれしそうな声をあげました。
馬車の前には、クロノ司祭が待っており、アンナに
「メラノ侯爵の尽力で、トリーを押し込むことができたよ」と小声でアンナに伝達します。
「助かりました。トリーがいないと難しくなったでしょうから」
アンナはその言葉にほっとした顔をして話しました。
聖女達だけでは、連絡伝達は無理なので、各地区は一名の付添が認められているのです。
やはり付き添いは聖女が望ましいとされています。
病院での治療は聖女達の一番の仕事になるので、今回も競技者以外に多くの下位聖女が手伝いとして
招集されているのです。
またこの競技会は、見るだけでも下位の聖女達にとっては非常に勉強の時間になるのです。
トリーが一緒に行ってくれるので、3聖女もほっとしています。
開会式で緊張していましたのでなおさらです。
「トリーさん よろしくお願いします」と3聖女は言い
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」と頭を下げるトリーです。
トリーもやっぱり緊張しています。
さて、会場の病院の入り口につきました。開会式で宣言した通り病院が会場になっています。
そこにはメラノ侯爵家のデント執事が待機していました。
病室へは聖女など関係者しか入れませんが、待合室には各地区の連絡係が待機しています。
よく見るとあのルーツの姿も見えます。
めざといベルがその姿をみつけました。
ルーツは病院の資材持ち込み商人として、潜りこんでいます。
さすがに切れ者メラノ侯爵、ポイントとなる地点に人を配置して情報収集を始めているのです。
4地区の聖女は4部屋の待機室に案内されます。これからここが地区の休憩所ともなります。
聖女達はここで開会式の正装を解き、すこし軽装になります。しかし彼女達の胸には、今回の競技者であるという各色のリボンがしっかりとつけられているのです。




