反抗期のある子とない子
愛が欲しい
「人生で1番愛に影響を受けた者が来る場所・・・」
案内人の少女が発した言葉を、繰り返しながら男は辺りを再度見回した。
「それと、子供しか居ないことがなんの関係があるんだよ」
見回している友人をよそに、案内人の愛無に問いかけた。
「人生で愛に対し1番影響を受けるのは、1番過敏に反応するのはどのような生き物も子供です。」
そう言い切った彼女はどこまでも冷たい目をしていた。ずっと見ていたら吸い込まれてしまうかもしれないと、思うほどの暗い瞳だった。
「まぁ、そうかもしれないけど、子供だけじゃなくて大人になっても愛って大事でしょ。なんで大人はいないの?」
「大人だからです。大人になってからの影響はそこには愛だけでなく、他のものにも影響されているはずです。」
「じゃあ、大人だけど心は子どもの人は?」
「それも同じでしょう。自分を、心は子どもと認識している者は、大人だけです。子どもは自分自身だけが、子どもと認識しているからだけでなく、周りの者が子どもと認識しているから、子どもなのです。大人になれない子どもはいません。ましてや、子どもになれる大人もいません。これは必然です。」
「ふーん、そういうもんかねぇ。」
そう会話をしていると、子供たちが何人かこちらに向かってきていた。
「どうした坊主、なんか欲しいのか?」
男は目線を子供に合わせるように、膝を曲げまっすぐ目を見て聞いた。
「いや、そうじゃないけど、僕達より大きい人がここに来るのを初めて見たから、こんなところで何してるの?お兄ちゃんたちも何か悪いことしたの?」
子供は男達を不思議そうに見つめ、質問をした。
「んー、悪いこと?いや、俺たちは何もやってないぞ。なぁ?」
「お兄ちゃん達もってことは、君たちは何か悪いことをしたのかい?」
親友はその問いに頷き、逆に聞き返した。
「ううん、僕達は何が悪かったのかは分からないけど、ママやパパにいつも叩かれてたから、僕達は悪い子なんだよ。」
「叩かれてた?」
子供の答えを聞き、2人は訝しげに見つめ合い、子供は続けた。
「うん、しつけだって言ってたよ。みんなもそうだよね?」
そう言うと、リーダー格のような男の子の周りにいた子達も
次々に口を開いた。
「そうだよ、僕は人が来たら邪魔になるからって、ベランダでかくれんぼしてた。僕はやりたくないって言ったら、殴られるから1人でやってたんだ。」
「私はプロレスごっこしたよ、大きい人達がいっぱいきて、服を脱がされてびっくりしたの。でも、暴れると怒られるから・・・、結構痛かったなぁ。」
「「・・・・・・」」
二人は絶句した
ただただ言葉が出ない状態、自分の気持ちを言い表す言葉が見つからなかった
テレビや本で見たり聞いたりした時、自分ならこうしていた、自分ならこう考えていたなどの妄想、もとい想像をしたことはあるだろう。だが、実際にその光景を、経験を目に耳にしたとき、この子達のような経験をしていない人間は何も言えないのだ。なんとも無力だ。
恋人が欲しいですね