表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

反抗期のある子とない子

愛が欲しい

「人生で1番愛に影響を受けた者が来る場所・・・」


案内人の少女が発した言葉を、繰り返しながら男は辺りを再度見回した。


「それと、子供しか居ないことがなんの関係があるんだよ」


見回している友人をよそに、案内人の愛無に問いかけた。


「人生で愛に対し1番影響を受けるのは、1番過敏に反応するのはどのような生き物も子供です。」


そう言い切った彼女はどこまでも冷たい目をしていた。ずっと見ていたら吸い込まれてしまうかもしれないと、思うほどの暗い瞳だった。


「まぁ、そうかもしれないけど、子供だけじゃなくて大人になっても愛って大事でしょ。なんで大人はいないの?」


「大人だからです。大人になってからの影響はそこには愛だけでなく、他のものにも影響されているはずです。」


「じゃあ、大人だけど心は子どもの人は?」


「それも同じでしょう。自分を、心は子どもと認識している者は、大人だけです。子どもは自分自身だけが、子どもと認識しているからだけでなく、周りの者が子どもと認識しているから、子どもなのです。大人になれない子どもはいません。ましてや、子どもになれる大人もいません。これは必然です。」


「ふーん、そういうもんかねぇ。」


そう会話をしていると、子供たちが何人かこちらに向かってきていた。


「どうした坊主、なんか欲しいのか?」


男は目線を子供に合わせるように、膝を曲げまっすぐ目を見て聞いた。


「いや、そうじゃないけど、僕達より大きい人がここに来るのを初めて見たから、こんなところで何してるの?お兄ちゃんたちも何か悪いことしたの?」


子供は男達を不思議そうに見つめ、質問をした。


「んー、悪いこと?いや、俺たちは何もやってないぞ。なぁ?」


「お兄ちゃん達もってことは、君たちは何か悪いことをしたのかい?」


親友はその問いに頷き、逆に聞き返した。


「ううん、僕達は何が悪かったのかは分からないけど、ママやパパにいつも叩かれてたから、僕達は悪い子なんだよ。」


「叩かれてた?」


子供の答えを聞き、2人は訝しげに見つめ合い、子供は続けた。


「うん、しつけだって言ってたよ。みんなもそうだよね?」


そう言うと、リーダー格のような男の子の周りにいた子達も

次々に口を開いた。


「そうだよ、僕は人が来たら邪魔になるからって、ベランダでかくれんぼしてた。僕はやりたくないって言ったら、殴られるから1人でやってたんだ。」


「私はプロレスごっこしたよ、大きい人達がいっぱいきて、服を脱がされてびっくりしたの。でも、暴れると怒られるから・・・、結構痛かったなぁ。」


「「・・・・・・」」


二人は絶句した


ただただ言葉が出ない状態、自分の気持ちを言い表す言葉が見つからなかった


テレビや本で見たり聞いたりした時、自分ならこうしていた、自分ならこう考えていたなどの妄想、もとい想像をしたことはあるだろう。だが、実際にその光景を、経験を目に耳にしたとき、この子達のような経験をしていない人間は何も言えないのだ。なんとも無力だ。


恋人が欲しいですね

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ