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勇者が逝く  作者: 御影友矢
1/1

山田陽一の場合

 

 俺の名は山田陽一。なにも取り柄のない男だ。


 そんな俺がトラックに引かれ、異世界に転生した。


 田舎に転生、可愛い幼なじみ。将来冒険者になって頑張ろうと誓い合った。


 俺は思う。


 きたんじぇね・・・・・・と。


 今はやりのあれだ。


 追放系! 主人公。


 案の定幼なじみにはすばらしい才能があり、俺にはなにもなかった。


 よぉーしよしよし。


 俺の野望に一歩近づいた。


 これで下手に中途半端に才能があったら詰むしな。


 そして噂を聞きつけた勇者が来て、俺は荷物持ちという形でパーティーに無理矢理入った。


 俺が思うに、勇者は俺が疎ましく、塵をみるような目だな。

 

 いいぞいいぞいい感じだ。

 

 勇者の前では情けない表情をしながらも、内心にやにやしていた。


 幼なじみも、だんだん俺を汚物をみるような目で見ていた。


 ふっ、今はそれでもいい、最終的に良い想いをするのはこの、お・れ・だ。


 勇者、はぁざまぁでもされろ。追放系主人公はこの俺だ。


 聖女や聖騎士も加入していよいよ現実味を帯びてきた。


 そして・・・・・・。










 ~SS級ダンジョン五十階~


「すまないが、お前は追放だ」


「何でだよ! 俺がなんかしたのか」


 勇者が我慢ならないといった表情で言い、俺は反発する。


 とうとうきたぁ~。


 内心はうきうきしていたが。


「なぁみんなはどう思うんだ。俺がいたほうがいいよなぁ」


 懇願するように俺は言う。


「いらない」


「あなたを見てると虫酸がはしります」


「そうよ、あんたなんかくその役にも立たないしいらないわよ」


 そういって勇者一行は去っていく。


「待ってくれよ、行かないでくれ~~」


 内心高笑いしながら、俺は慟哭する。


 くそ勇者め、今に見てろ、俺が追放系主人公としてハーレムでざまぁな展開にしてやるぜ。


 ここで、新しい仲間が来るか、俺の秘められた力が覚醒するのか、さぁどっちだ。


 俺は高々に手を広げた。








 ~一時間後~


 あれっなにもない、そんなはずない、きっとここにいるのがいけないんだ、ダンジョン帰還系だったんだ。


 俺はダンジョン帰還を目指し・・・・・・。












 最後に見たのは・・・・・・。

















 ドラゴンの・・・・・・。



















 口だった。

 

 森本○オさんのナレーションが聞こえた気がした。

 










 ~冒険者ギルド~


「ようやく、ヤーマダさんを追放したのですね。うちのギルドとしても困っていたのです。高圧的な態度に、職員や女冒険者への卑猥な言動。勇者様のパーティーじゃなかったら、とっくに追放しているところでした」


 受付嬢が喜んでいる。それはもう爽快に。


 周りの冒険者も手を叩いて歓迎している。


「でも、あそこに置いていって良かったのかな。今頃死んでいるかもしれないし」


 勇者は普通に良い奴だった。


 今まで、悪評だらけの山田を見捨てず、きっと改心すると見守っていたのだ。


「いいのよあんな奴、幼なじみだけど、いつもにやにやしてずっと気持ち悪かったし、色目使ってくるし、視線は胸ばっかみてるし、ほんときもかったの」


「私はお風呂を覗かれました」


「尻触られた」


 居なくなって心底良かったと言わんばかりの三人。


「そうだね、この話題はここまでにしようか。これからの冒険楽しみだね」


「うん」


「ええ」


「はいっ!」




 そして、勇者一行は無事魔王を倒し、仲良く暮らしましたとさ。




 山田陽一


 失敗原因:追放系ざまぁと決め込んで好き勝手やったこと。

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