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カースト最底辺ぼっちの俺が、カースト最上位の彼女に嫌われた結果  作者: 男子校でも恋がしたい!
第二・五章 陰山黒人が夏休みを満喫するわけがない
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夏休み


 夏休み。


 そう、夏休みである!


 世のリア充たちがわらわらと湧き出し、海だ山だと様々な所へ出向き、素晴らしい(笑)思い出を作る期間である!


 そして、今日は……


 その夏休みが始まってから約一ヶ月半が経った、夏休み最後の日、八月三十一日である。


 つまり、それは今日という日が終われば、夏休みが終わるということを意味する。

 夏休みはリア充たちが騒ぎ出す期間であると共に、ぼっちたちに安らぎを与える期間でもあるのだ。

 そのため、俺にとっても終わっては欲しくないのであるが、小学生から始まった十年近い学生生活の中で、どれだけ願っても夏休みが延びることがないことを知っているため、俺は夏休みが延びるなんて夢物語を夢想するのはやめて、ひたすらに手を動かした。


 こんな夜中近くになっても俺が必死になってやっているのは、もちろん夏休みの宿題だ。

 高校生にもなって夏休みの宿題でひーひー言っているのもどうかとは思うが、高校生にもなって夏休みの宿題を提出しなければならないなぞという悪しき風習こそ消すべきだと思う。


 俺は、腱鞘炎になっても困るので一旦手を止め、一回スマホを手に取った。

 真っ先に目に入ったのは、ロック画面の壁紙である。そして、それはある写真が設定されていた。


 その写真とは、海だ。

 確か、あれは八月の初週。俺は、陽川に半ば脅迫されて、陰山さんと中野と陽川と俺という謎すぎるメンバーで海に行ったのだ。

 しかも、二泊三日で。


 楽しかったか楽しくなかったかで聞かれれば、楽しかったと答えよう。

 でも、それ以上になんというか、気まずかった。


 陽川は、相変わらず所構わず告白してくるし、その直後は必ず、変な空気になる。

 具体的に言うと、中野が無言になり、陰山さんが俺のことを延々と睨むのだ。

 陰山さんのあの顔を思い出すだけで寒気がする、というものだ。


 あと、夏休みにしたことといえば……中野に夏祭りに誘われたが、急遽中野が風邪を引いて行けなくなったり、陽川と映画を観終わった後にカラオケに行くも、俺が終始無言で途中でお通夜状態になったくらいだ。

 つまり、俺が遊びにいったのは二回だけだ。


 これでも俺からすれば、例年の倍以上……いや、ゼロは何倍しても二にならないか……。

 要するに、俺からしたら充実した夏休みだったのだろうが、真のリア充共からしたら、『え?それで充実?笑わせんなよ』って感じなのだろう。

 ほんと、リア充なんかには一生なれない気がする。


「あ……」


 ふと時計を見ると、時刻は十二時を回っている。つまり、既に九月一日だ。

 ということは、今はもう夏休みじゃない。なので、夏休みの宿題はやらなくてもいい……


 よし、寝よう!

 と、そんなことができるわけもなく、俺は一時間でも学校に行く前に寝れるように、手を必死に動かした。



◇◇◇



 ああ、もう!私のバカ!


 私は、少し散らかった部屋を片付けながら、反省していた。


 今日は、八月三十一日。しかも、既に時刻は夕方の六時過ぎだ。

 ついさっきまで私の家では勉強会が開かれていて、そして私もその間に宿題を終わらせた。


 私が反省している内容とは、ずばり黒人のことだ。


 黒人を海に誘うまでは良かったのだ。

 しかし、問題はその後だ。


 二泊三日の海に誘ったはいいものの、二日目にあるはずだった花火大会は雨のせいで中止。

 その場で告白をしてOKしてもらおうと考えていた私にとっては、大きな誤算だった。


 しかし、全体的には成功といえよう。だって、私の水着姿も披露できたことだし、なにより一緒に二泊三日過ごしたことで、かなり距離が縮まった気もしたのだ。


 真の問題はこの後にある。


 海旅行から帰って数日後。鉄は熱いうちに打て、なんて言葉もあるのうに、私は黒人をデートに誘った。


 デートとしてはありきたりではあるが、映画を観てから、カラオケに行った。

 しかし、それは二人でカラオケに行った時のこと。


 黒人は、何も歌えないんだ、とだけ言って、本気で何も歌おうとしなかったのだ。

 黒人がこんな様子なら、私が盛り上げなきゃ、と思い立ち、頑張って歌ったはいいものの、私が歌った後もずっと無言。


 途中から、一人だけで歌っているのが悲しくなり、歌うのもやめた。

 いわゆるお通夜状態だ。


 本当なら、帰り道に告白を、と考えていたのだけれど、それもできないくらいにテンションは落ち込んでいた。


 その日から、一緒にデートしに行ってもまた無言になり気まずくなってしまったら、黒人につまらない人だと思われる、という恐怖が生まれ、そのせいでその後は一度もデートに誘えなかった。

 夏休み中に考えていた、十八のデートプランは全て無意味なものとなったのだ。


「はぁー」


 今思えば、少し強引だったとしても、また気まずくなる可能性があったとしても、やっぱりデートに誘っておくべきだったな、と思う。


 夏休みはこんな無残な結果になってしまった。

 だから……


 だから、二学期こそは!


 あれ?夏休み前にも、同じようなこと言ってた気がする……



◇◇◇



「ああ、もう!」


 ベシン!と枕を叩く。


 今日は八月三十一日。まだ時刻は朝の十時だ。

 ついさっき、黒人君に電話をかけた。遊びのお誘いの電話だ。


 しかし、『ごめん、宿題があと四分の三残ってるから』と断られた。

 私は、校長の娘という立場もあり、元々の性格もあり、七月中には宿題は全部終わらせている。しかし、こんなことなら終わらせずに残しておいて、黒人君の家で勉強会すればよかったな……。


 それか、今日以外の日に誘えばよかった。

 しかし、誘う勇気がなかったのだ。昨日までなら、宿題を理由に断られることもなかっただろうに。


 結局、私が黒人君の遊んだのはたったの一回で、しかも私が幼馴染であることに気付いてもらう、というノルマは達成していない。


 しかも、その遊んだ一回というのは陽川さんに誘われて赤音ちゃんと黒人君と遊びに行ったことだ。楽しかったけど、それがかなり気まずくもあったのだ。

 私は陽川さんが告白すると、ならば私も、と告白の言葉を考えるせいで無言になり、無言になったのを私が黒人君に傷つけられたせいだと勘違いした赤音ちゃんが黒人君を睨む、という謎の事態が起きたのだ。

 しかも、それが陽川さんが告白した度に起こった。つまり、七回。


 そんなわけで、微妙に気まずい二泊三日を過ごしたのだけど、それ以上に災難だったのは、夏祭りだ。


 私は意を決して黒人君を夏祭りに誘い、そしてそこで幼馴染だと気づいてもらおうとした。

 それは、夏休みが始まった直後から決めてあったことであり、絶対に成功させる、と息巻いていたのだ。


 しかし、結果は不戦敗。私は、戦わずして敗けたのである。

 理由は、私が風邪引いたからだ。


 それから二十日近く経った今でも、その日突然熱を出した自分を殺したいと思っている。

 というか、タイムマシンが未来に誕生したならば、私は一番最初にその日の自分を殺しにいくだろう。


「はぁー」

 そんなこんなで、私は夏休みには何の進展もなかったのだ。


 でも、夏休みという告白とかがうまくいきそうな期間を逃してしまったのだから、もう二学期しかない。


 絶対に二学期になったら、幼馴染だと気付かせて、告白する!



◇◇◇



 八月三十一日。時刻は十時。


 私、陰山赤音は、解答を開きながら、それを丸写しして、夏休みの宿題を終わらせていっていた。

 答え丸写しにより、夏休みの宿題に初めて手を付けてから五時間と経っていないのに、もう既に三分の二近く消化している。


 あとは英語だけになり、私は伸びをした。

 この調子なら、あと二時間もあれば終わりそうだ。つまり、十二時には寝れる。


 その時、ピロン、と軽やかな音を立てると同時に、スマホが光った。

 誰からかな、と思いつつ開くと、それはグループの招待だった。


 なんのグループだろ、と思いつつ名前を見てみると、そこには『新生イツメン』と書かれていた。

 招待してきたのは『aika』。私のいるグループの中心人物、岩崎(いわさき)藍花(あいか)だ。


 他にグループに招待されたメンバーを見てみると、全員仲の良い人たちだった。

 というか、招待されたメンバーは全員、元々藍花や私が入っている『イツメン』というグループにも入っている人達だった。


 なんで同じメンバーで新しいグループを作ったんだろう、と不審がっていると、ふと『イツメン』と『新生イツメン』で、人数が違うことに気づいた。

 違う人数は、たったの一人。それが、新生の方ではいないのだ。


 誰がいなくなったのか、二つのグループを見比べるまでもなく、私は気付いてしまった。


 村山(むらやま)紫音(しおん)だ。

 彼女は、私が中学の頃からの親友だ。転校したばかりで心細かった私に、『あれ?赤音ちゃんも、名前が色と音なんだねー?』なんて言って話しかけてくれた優しい子だ。

 私にとって、一番大事な友達。


 以前から、紫音がウザい、なんて話が話題になることがあったから、彼女が招待されていないことにすぐに気付いてしまった。


 視線を再びスマホに戻すと、既にグループには私を除いた八人が参加していた。

 私は、それに気付いて反射的にグループに参加する。


『お、赤音も入った〜』

 という、藍花の言葉が画面に表示される。


 何か返そうとしたが、それより先に藍花から新しい通知が来た。

『ねぇ、紫音ってウザくない?』


 それは、私が最も危惧していた言葉そのものだった。


 そして、その藍花がメッセージが送られると、次々に他のメンバーからもメッセージが返ってくる。

 それらの全てが、藍花の言葉に賛成するメッセージだった。


 そこで藍花は私だけが返信していないことに気付いたのか、

『あれ、赤音は?どう思う?』

 とラインをしてきた。


 既読スルー?

 いや、できない。


 多分、既読は八になっているはず。私が見ていることも藍花には分かっているだろう。

 ドク、ドク、ドク、という心臓の音が聞こえてきた。


「はぁ、はぁ、はぁ」


 私は荒い息をつき、そして……





「ごめんね、紫音……」



 宿題やらなきゃってことで、ライン自体は十分近くで終わった。

 しかし、私が眠りについたのは三時過ぎのことだった……


ブクマと評価と感想ありがとうございます。


次回から、三章です。

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― 新着の感想 ―
[一言] いやいや中野ちゃん。そこは自分は宿題終わってるから、教えて上げるって言って、家で勉強デートすべきじゃない!
[一言] 赤音ちゃんも闇というか、業が深い…… これも中々パンチの効いた状況ですけど、黒人くんの状況に比べれば何でもない環境ですね。 そういった事に赤音ちゃんもとい、妹ちゃんは気付くか…… 気付け…
[一言] 緑を傷付けた事で兄貴を嫌ってるのに 自分は友達を傷付けていいんですかねぇ?
感想一覧
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