表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/10

暗躍。実験台にされるのは?

暗躍する勢力、文人勢力のお話。

初めて成人間として、大成した、ある男の日々。


場面がガラリと変わります。

助けて。

なんでもする。

だから、俺を救い上げてくれ。

そんなことを言った男がいた。もちろん普通の人間だ。だから、無視した。

たしか、雨が降っていた。ポツポツと傘に雨粒が降っては当たる音を鮮明に覚えている。

男は、見たところ、なんの変哲もないサラリーマンだった。一般的なスーツに革靴。ただ通常と異なる点といえば、地べたに這いつくばって苦しそうにしているところだろうか?

よく観察してみると、口元に血の跡がある。

誰かに故意に毒でも盛られたか?

無視するとは思ったものの、これは、利用価値があるのではないか?

怒り。憎しみ。それが、成り、を強くする。

それは、実験済みだった。まあ、実験台は死亡したが。

なんの理由があって、こんな状況になっているのか知らないが、丁度良い。

「…お前は、誰だ?」

答える必要は無い。

「何をしてる?…警察か?救急車を呼んでくれないか?意識が飛びそうなん…だ……。」

直ぐに戻ってくる。安心して、感謝することだ。そう思って男の写真を撮った。

カシャっ!カシャっシャシャ!カシャっ!

365回シャッターを切った。

一眼レフである。

瞬間。

雷に打たれたような衝撃が男に走った。

記憶。闘いの記憶が頭に流れ込んでくる。

「な!?なにをした!?お…前!?グ…ああああああああああ!?」

ふうん。こいつは、少し耐性があるようだな。

普通の人間なら、365回シャッター切る前に絶命する。良いね。良い素材を見つけた。

初めて口を効いてやった。

「面白い。キミ。面白い…。耐性があるヤツなんて聞いたことがないよ。」

「耐性…?だ…と?」

男は苦しそうにやっとの思いで声を絞り出した。

「ボクの名前を覚えていくと良い。ボクの名前は、三月灯(みつきあかり)。新勢力のリーダーだ。」

そう。ボクこそが…この国の支配者に…。

ザザザ!!!視界が歪んで真っ白になった。

え?……?

瞬間。

「なんでボクがボクの顔を見上げてるんだ?」

立場は逆転していた。文字通り。中身が入れ替わったのだ。

スーツ姿の男に成ってしまった灯は、理解が追いつかない。

「なんでだよ!ちゃんと、ちゃんと言われた通りにやったのに!こんな!ゴボッ!?ゲホッ!?」

灯の姿に成った元、男は言った。

「わたしに手を出しておいて、なんでもなにもないだろう。わたしを誰だと思っている?灯とやら。」

恐怖。灯は、恐怖を感じていた。全身で。

蛇に睨まれたカエルのようになった、灯は声も出せない。

「良い素材なのは、貴様だ。愚民めが。わたしの名を覚えていくと良い。」

知っている。多分、ボクはこいつを……

文村文人(ふみむらふみひと)。よく心に刻み付けることだ。」

殺される。もう、この男の体は長くない。どうやっても死ぬ。

文人は、新しい体を確かめるように、手を握りしめた。

「ふん。女子の身体というのは少し不思議な感じだな。まあ、良い。」

そして、灯の人格が入った男の体を蹴り上げた。

「ゴボッ!?」

男の体が宙に浮いた。近くにあった、ゴミ箱にぶつかる。

みしぃ!ドカッ!

「少し…調整…が…必要な…よう…だ!」

ドカッ!バキッ!どんどんどんどん!

「もう、やめてくれ!いたいよお。きっと骨がもう何本か折れてる…肋骨が肺に刺さったら…。やめてください。なんでもする。なんでもするからぁ!」

灯は懇願した。プライドなど、かなぐり捨てて。

せめて、安らかに死にたかった。

「は?なに言ってるの…かしら?はは!少し、女子に寄せて喋るぞ灯!ははは!立場逆転だな。」

灯はもはや、意識を保てなくなっていた。

「わかったわよ?一思いに殺してあげよう!貴様の身体、有効につかわせてもらうよ。」

[毒巡り(どくめぐり)]!

「ギヤー!ああああああああああ!!」

男の身体が紫色に染まっていった。やがて、目、鼻、口、皮膚から血を噴き出して灯を宿した男の身体は死んだ。

文人は、ただクスクス笑っていた。



簡単な作戦だった。

弱い人間のフリをして、演技をすれば、馬鹿な新勢力どもは寄ってくる。

仲間を増やすため。

実験台を増やすため。

「チッ」

でも、気になることがひとつあった。

灯という女は、言われた通り。と言った。

これは、懸念材料だ。

なぜなら。

「わたし以外にも、成り、の方法を知っている者がいる?」






文人勢力と言っても、実働はほとんど文人本人です。理由は、文人ひとりで充分すぎるほどに、強いからです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ