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地下室へのいざない

遂に正式な一族員となる上くんに、成り、とは?と説明がされるお話。

説明回。その他もろもろ。

「なあ、俺、これから何処に連れて行かれるんだ?」

翼上こと、現、告村上(つげむらがみ)は、恐る恐る前を歩く肌の白い美しい少女に尋ねた。

少女と上は、円卓会議とやらが終わった翌日突然、告村屋敷の地下室に呼ばれた。

今は、地下室への階段を二人で降りている途中である。

「俺、成る、とは言ったものの、成る、の言葉の深い意味までは、理解していなくてだな…」

「無駄口を開く余裕があるなら、少しでも体力を残しておいた方が良いとおもいますけど?」

思っていたより辛辣な言葉が少女から飛んできたので、上は、少し驚かされた。

「おいおい。そんな危険な場所に連れてかれるのか?」

「当たり前です。外部から一族員に成ると言うのはそう言うことです。」

後から分かったことだが、成る、という行為は命を落としてもおかしく無い危険が伴うモノだという。少女の助言は、当たり前だったのかもしれない。

地下室への階段と言っても、暗闇に包まれた空間というわけでは無い。きちんと照明が設置され、安全に配慮されていた。そのため、転んだりすることはないはずだったのだが…

「…うわっっと!?」

思わず転びかける上である。

「なんでだ?階段を降りていくにつれ、力が抜けてくぞ?君の仕業か?」

手すりなんて物は無いので、壁に手をつきながら上は、少しおっかなくなって言う。

「わたしの所為ではありません。貴方の身体が作り変えられていっているのですよ。告村上。」

初めて少女は、上の名を呼んだ。

それはどういう?…

そう聞く前に二人は、地下室へ到着した。



「よく来てくれた」

地下室の扉を開いて開口一番そう言われた。

沢山の写真が壁に貼り付けてある。写真を眺めていた白衣の女性に上は、目を奪われた。

上の隣の少女は何故か、その様子を見て少し不機嫌そうにしていた。

「さあ、早くやっちゃって下さい。凪乃(なぎの)。長人達の気の変わらない内に…」

凪乃と呼ばれた、白衣の美女は、上から目を逸らさずジッと見つめている。

「君が分子のお気に入りか。いやはや、もっとイケメンが来ると思ったからな。残念だ。」

凪乃は頭をかきながら、付け足す。

「大丈夫!成り、を引き起こせば、一枚目くらいには成るさ。ハハハ。」

喧しい人だな。上は思った。別に冴えない顔なことは気にしてないし。そう思った瞬間。

凪乃の表情が変わる。

「喧しいねえ…別に傷つけるつもりは無かったんだ。すまんねー。」

何?なんだ?心を読まれた?

「気をつけなさい。凪乃は、人の心が読める。安易に嘘を付いたり、暴言を吐かないことです。」

上の隣の少女が説明してくれた。

「申し遅れました。わたしの名は代子(かわるこ)。成り、へのいざない人間です。」

少女が自己紹介した。

その後の凪乃と代子の説明によれば、成り、とはこういうことらしい。


第一。人間が人間としての存在を残して別の特性を習得すること。得ること。

第二。成り、を引き起こすには、この地下室で365の写真を撮る必要がある事。

第三。告村一族は、半神の一族である。

最後に、成り、を利用して悪事を働く、文人(フミヒト)勢力なるものが存在すること。


「まあ、頑張るよ。」

命を助けられてしまったしな。

そう、決意し、告村上は、成り、を引き起こす準備に入った。

「気に入ったよ。がみくん。」

「分子様の目は間違いなく天才ですね。上。見せてください。貴方の働きを…」

凪乃と代子はその様子を見守っていた…



凪乃と代子。二人は、待っていた。

五十年は待っていた。この地下室へ到着できる人間を。


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