高嶺の花の微笑み
彼女こと、女傑の話をしよう。
女傑は、ただ、戦うことを選んだ。
だが、たまには日常も必要である。
なんたって、女傑だって半分は人間なのだから…
村結家。それは、新しい。そう、比較的に新興一族。
他勢力である、告村や、中分とは、また違う。
私は、そこの当主である。
本当の名は、別にあるのだけれど…
花菜、それが、今の名だ。
私が得意とするのは、一族に伝わる、
体術。である。
ノーガード。そう呼ばれる。
アンフェア。そう恐れられる。
デスマーチ。その名前を聞いた者は、死に会う。
3つに分けられるのが一族式体術の基本となる。
さて、私はどの体術だ。
そう、考えながら、私は晩飯をよそっていた。
「またか…おい。花菜、まだなのかしら?……なに真顔でこっち、睨んでんのよ。貴方がわたしと話そうって誘ってきたんじゃない。」
そう、私のことを急かすのは告村の当主、告村分子である。
何故、彼女が私の家にいるのかと言うと、
彼女が私の親友だから。というのもあるし、彼女が唯一の愚痴をこぼす相手だから。というのも、理由であろう。
「分子、貴方も手伝って。私一人でこの量はキツイ。」
煮込まれるカレー鍋に入った、具材を見て、私は言った。
ぐつぐつ。ぐつぐつ。ぐつぐつ。
だんだんと、増していくいい匂いが部屋に充満したあたりに、分子は言った。
「はあーー。やっと完成か。じゃっ。みんなのことも呼ぼっか?!」
分子はキッチンの隅にあるボタンを押した。
ブーーー!
少々手荒だが、これが食事の合図である。
みんなが集まってくる。そう、安心して暮らせる空間に身を置く私は、ただただ微笑んでいた。
さあ、なんの話を次は、しようか?
そうだな…
まあ、告げられし一族かなあ?