影響6 悪化する外国との関係
日本から交換留学生として、外国に住んでいる18歳の少年クスノキ マンサクは、ある日母国にいるガールフレンドに手紙を書いた。
そこには地球温暖化による様々な影響や、その状況下における彼自身の心の内がつづられていた。
サクラ、日本で元気に過ごしていますか?
そちらの夏は、日中の最高気温が40℃以上になる超猛暑日を何日も記録したそうで大変だったそうですね。
この手紙を書く前にインターネットでそちらの天気をチェックしましたが、10月になった今でも最高気温が30℃を超えているそうです。
地球温暖化のせいで、大変な世の中になってしまいましたね。
さて、こちらの生活ですが、やはりこちらも暑くて大変です。
近くに生えている草木は地球温暖化による異常気象のために、全体的に以前よりも勢いが衰えていますし、今年の小麦の生育具合も良くはないそうです。
品質は以前よりも落ちていることは間違いないでしょうし、恐らく高い値段で売ることは無理だと思います。
それでも食べていけるだけ幸せだと思わなければなりません。
この国は、以前は世界各地に食料を輸出していましたが、さすがにこのご時勢では自国民を養うのに精一杯の状況で、輸出までは手が回らないのが現状です。
日本からは「食料の緊急輸入を!」という声が上がっており、この国に対する抗議活動も起こっていると思います。
そのせいで、この国との関係は非常にギクシャクしていると思います。
こちらでも、不穏な空気が漂っています。
先日は「お前達日本人にくれてやる食料はない!」とか「食料は自分達で作れ!」「輸入なんかにいつまでも頼っているからこうなるんだ!」というような声も浴びせられました。
はっきり言って悔しかったです。
しかし、何も言い返せない自分に対しても悔しさがこみ上げてきました。
日本は、以前は世界的に見てもかなり豊かな国だったそうですが、食料自給率が低いというもろい一面もありました。
そのもろさが、今やまともに暗い影を落とす状況になってしまいました。
それでも、日本は第二次世界大戦によってすっかり荒廃してしまった状況からはい上がってきたという過去もあります。
せめてその時のような状況をもう一度再現し、世界の人達から「奇跡だ!」と言われるような状況を、自分達の手で作り出してみたいと思っています。
国と国の関係が悪いこともあって、本気で日本に帰りたいと思うこともあります。
僕は今、機械工学を勉強しながら、みんなの役に立つ機械を作る研究に没頭しています。
これが食料増産のために頑張っている人達の役に立てばと思っています。
僕は自分なりに目標を持って、毎日を元気に過ごしています。
どうかサクラも体に気をつけて過ごしてください。
20××年 10月10日
クスノキ マンサク