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それなのに本人はぼろを出したことに、一向に気がついていないのだ。
――ほんと、クズだわ。
そんなことを考えていると、夜も更けてきた。
まず無言家族が無言のままテントに入り、しばらくして私たちもテントに入った。
DQN男の声がしばらく聞こえていたが、やがてそれも聞こえなくなった。
正人の寝息が聞こえてくる。
しかし私は寝付けなかった。
何しろ私は明日の朝が楽しみなのだ。
楽しみで楽しみでしかたがないのだ。
そんな私だったが、いつしか夢の世界に入っていた。
目覚めた。
日はもう昇っている。
私は隣にいるはずの正人を見た。
が、そこに正人の姿はなかった。
――えっ?
考えられない。
信じられない。
正人がいないなんて、ありえない。
正人はここにいるはずなのだ。
絶対にいるはずなのだ。