表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/16

とにかく適正とか加減といった日本語を知らない。


唯一いい点は、多すぎることはあっても足らなくなることがないことだ。


あまればこのあと、家で食べればいいだけの話だ。


正人は生まれてこのかた包丁と言うものを手にしたことがなく、今後も手にするつもりがないと言うことなので、必然的に食事のしたくは全て私一人でやることになる。


その代わりと言ってはなんだが、正人はテントを建てはじめた。


しかしそんなもので何十分とかかるわけがなく、そのうち建て終えてしまった。


手持ち無沙汰なときに正人はスマホをいじるのが常なのだが、ここには電波が届いていない。


だから服が汚れるのも気にせずに、今は地面をごろごろしている。


ちょっと目障りだったが、気にしないようにした。


そして料理をしながら正人ではなく、他の二組を観察した。


手前の家族連れはやっぱりおかしかった。


私と同じように夕食の支度をしているのだが、父親も母親も一言も口を開かない。


男の子が遠慮がちに数回話しかけたが、二人とも返事をするどころか、子供のほうを見ようともしなかった。


男の子もあきらめたのか、さきほどから両親と同じようにだんまりをきめこんでいる。


――家庭内に何か問題がありそうだわ。


そう思ったが、もちろん赤の他人の私にはどうでもいいことだ。


変になれなれしく話しかけてくる人間よりも面倒がなくて助かった、と思うことにした。


その先のカップルは、DQN男が大きな声で取るに足らないことをしゃべり続け、それに対して重量級女が無言でうなずいていた。


それの繰り返しだ。


私も正人も何も言っていないので、今聞こえているのはDQN男の声だけだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ