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私は逃げようとしたが、すでに背中を深く刺されている身体は、思うようには動いてくれなかった。


「うぐっ」


今度は胸を刺された。


私はその場に座りこんだ。


薄れてゆく意識の中、正人の顔を見ながら私は思った。


――何故……。何故効かないの?


すると突然、正人が口から大量の血を吐いた。


その血が私の顔やすでに赤く染まっている胸にかかった。


正人はこれ以上ないくらいに目を見開いて、私を見た。


「まさか……おまえ……」


正人は私に手をかけようとしたが果たせず、そのまま地面に顔面から突っこんだ。


――やっと効いたのね。


正人が美咲と浮気をしていることを知ったとき、私は怒りに震えた。


浮気をする男なんて、人間じゃない。


人間じゃないものなら、殺したって全然かまわない。


私は正人の夕食の中に毒を仕込んだ。


ただすぐに死んでしまっては私が真っ先に疑われるので、小さな特別製のカプセルの中に毒を仕込んだ。


カプセルが溶けると毒が効くというわけだ。


計算では日が昇る前にカプセルが溶けるはずだったのだが、予定よりも大幅に遅れてしまったのだ。


――もっと早く毒が効いていれば、私だけは死なずにすんだのに。


そう思いをめぐらす私の意識も、やがて途絶えた。



       終

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