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――えっ?
女がバットを振り下ろした。
そのスピードは思った以上に速かった。
しかし私はそれを避けた。
女が私を驚愕の表情で見た。
どうやら避けられるとは、微塵も思ってはいなかったようだ。
「チッ」
女の舌打ちが聞こえた。
女はまたバットを振り上げ、そして振り下ろした。
私はそれも避けた。
「うぎゃ!」
女は奇声を上げると、私めがけてバットを何度も振り回し始めた。
私はその全てを避けた。
その時私は気付いた。
この女はただの肥満ではないと。
その皮膚の下にあるものは、脂肪ではなくてほとんど筋肉であると言うことに。
極限まで鍛え上げた結果、この体型が出来上がっているのだ。
その豪腕から振り下ろされたバッドを一発でも受けたら、ひとたまりもないだろう。
しかし女にも弱点があった。
それは体重だ。