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振りほどこうとしたが、男の力が強くて駄目だった。


――いや、ちょっと、いくらなんでも……


苦しい。


本当に苦しい。


なんとかしようと考えたが、苦しみとあせりで頭が思うように動かなかった。


すると。


ゴン


と大きな音がした。


首を絞める力が無くなっている。


見れば男が白目をむいて立っていたが、やがて前のめりにゆっくりと倒れてきた。


私は慌てて避けた。


うつぶせの男の後頭部が見えた。


それはばっくりと割れていた。


気付けば小太り女がそこにいた。


その手に金属バットを持っている。


夕食後に男が素振りをしていたのを見たが、そのときに使っていたバットのようだ。


私は助かったことは助かったが、男が死んでしまった。


この女は私を助けるために自分の彼氏を殺したというのか。


私は女を見た。


女はそのバットを再び振り上げた。

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