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「わっ、私にそんなこと、言われても」
その時、私の脳裏にあるここが浮かんできた。
タイヤをパンクさせられた車。
そして頭を割られた死体。
三年前のあの事件と、同じなのではないのかと。
私はふらふらと自分のテントに行き、あるものを探した。
それは思ったところにあった。
それを隠し持って外に出ると、男が私を待っていた。
「おい、おめえの彼氏はどこだ?」
「いや、私も知らないんですけど」
「うそつけ! このアマ、隠してんじゃねえよ。これ、おめえの彼氏がやったんじゃねえのかよ」
「いや、いくらなんでも、正人がこんなことをするなんて」
「うるせえ! だったら彼氏に聞くまでだな。おめえの彼氏はどこにいるんだよ」
「だから知らないと」
「まだ言うか、このアマ!」
男は私の胸倉をつかんだ。
「さっさと白状しろ!」
「だからほんとに知らないんだって」
「うるせえ!」
胸倉をつかんでいた男の手が、いつの間にか私の首を絞めていた。