【えっと、死にました】
突然ですが、
死にました。
…ああ、自己紹介が遅れました。
私は高槻 麻衣。26歳。
就職難をようやく脱して、しばらく…と、いったところだったのですが、交通事故で死にました。
まあ、未練はそんなにないんですけど…さすがにもうちょっと生きたかったかな…
だって、最悪なんですよ!
こっちはちゃんと信号も見て、左右も確認してから渡っていたのに、パトカーに追いかけられてる車が交差点に猛スピードで突っ込んできて、パーンと。即死でした。
突っ込んできた車、後から聞いた話によると飲酒運転だったそうです。
え?後からってどうやってかって?
いやー今、幽霊なんですよね~
なんでかはわかりませんけどこう、ふわふわ~と自分の死体の上を浮かんでます。
と、ふわふわしてたら神様を名乗る人が来ました。
「ごめんごめん。間違って殺しちゃった!」
……殴っていいですよね
「え!あ、ちょ、待って!悪かったとは思ってんだよ~」
笑顔で拳を握ると神様(仮)は慌てて弁解を始めた。
どうやら、もともと亡くなる予定だったのは、あっちの飲酒運転の人だった。
それがなぜか私がそこの交差点にいて、身代わり同然に死んだ。
で、さすがにそれはまずかろうということで、神様直々にこうやって来たらしい。
…ほう?(いらっ)
私の機嫌が更に輪をかけて傾いてきたのを悟ったらしい神様がこう提案してきた。
「転生したらどうかな?」
は?
突然のことにぽかんとしていると、鼻高々に説明を始めた。
ようするに、今回の件は主に神様に全責任があるので、その責任をとって、私をこの記憶を持ったまま生まれ変わらせてくれるとのこと。
「じゃー、なんか要望はある?」
それはもちろん。
平凡で!
不思議そうな顔をする神様。訳を聞いてみると、普通こういう時はチートな能力とか、整った容姿とかお願いするもんだって。
いりませんよ?
…私の家庭は結構めんどくさかったし、平凡がいいです。
神様がなんかいろいろ説明してくるけど、私の心は変わりません!
そのうち神様も諦めたらしく、わかった平凡ね、平凡。と言ってきた。
ええ、もちろんですともさ!
「じゃあ、へーぼんな家族と、へーぼんな容姿と能力ね~」
ふわりと意識が光に包まれる。
…オイ、マテ!なんか嫌な予感がするんだが!!!?
「楽しんでおいでね~!」
コラー!!!!