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朽ち逝くものー家②ー
そして又 一軒の古い家屋
トタンで覆われたそんなに裕福では無いであろういえがあった。
平屋で庭は田舎なのでそこそこあるのだけれど
手入れは行き届いていない。
一度少しだけ手が加えられた。
外にはプロパンガスのボンベもあった。
やっぱり人は住んでいるんだとそう思っていた。
ある日、ガスボンベが無くなっていた。
小窓に見えた洗剤などはそのままだった。
都市ガスにかえたのか?
しかしそんな感じの家ではなかった。
そしてやっぱり雑草が覆い始めた。
平屋の全てを覆い尽くした。
外から見えるほんの一部の壁が
以前そこが家だったことを物語っていた。
その家には桜の木があった。
植物に覆われたその中で
毎年桜は咲き続けている。
今年も緑の中にひっそりと顔をのぞかせるだろう桜の花を見に行こう。
中には入れないけれど
一生懸命背伸びをして
一生懸命咲いている桜の花を愛でに行こう。




