1/2
朽ち逝くものー家ー
20年ほど前は、多分人が住んでいたと思う。
誰が住んでいたかは定かではないが。
昔からあるような日本家屋。
前庭には木々があり、良く手入れがされていた記憶がある。
ある時ふと様子が違うことに気付く。
前庭の雑草とたわわに広がる枝達。
引っ越したのかと思った数日後、若い子が乗っていそうな軽四が雑草の中に止まっていた。
悪い風にとる必要もないので普通に見過ごしていたのだが、見る見るうちに家は木々と雑草に覆われた。
もはや人の気配すらなく
静かに朽ちていくのを待っているような佇まいである。
喩え朽ち果てようと家を建てていたほうが税金が安いらしい。
だからと言ってあまりにも哀しい姿で其処に建っている様子はあまりいい感じはしない。
家が廃屋となり廃墟となり
そこには植物やら虫やら、新しい命が芽吹き
別の意味でそれは美しく愛おしいものではあるが
人を育んできたであろう家を
こんな形で終わらせるのは忍びないと思うのは
多分私の身勝手な思い。