毎朝のこと
少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。
「行ってきまーす」
そう玄関から家の中に向かって言うと、ドアを開けて外に出る。
家の中から「行ってらっしゃ〜い」と気だるげな声がしてドアが閉まった。
※※※
今は朝の7時。
これから20分くらい歩くと学校に着く。
朝礼は8時30分から。何でこんなに早く学校に来るのか、よく友達に聞かれる。
部活の朝練も無いし、8時に家を出ても余裕で間に合う。
確かに自分でも早いと思う。
でも、この時間がちょうど良いんだ。
なぜなら、
「あ、小泉!おはよう!」
「西田か。おはよう。今日も早いな」
「そっちこそ早いじゃん」
「まあな」
小泉と一緒に登校できるから。
小泉は特に理由も無いのに早く学校に行く奴だ。偶々わたしが早く家を出たとき、小泉がこの時間に登校していることを知り、それからこの時間に家を出るようになった。
……いや別に小泉が好きっていうわけじゃない。
ただ異性の友達の中で一番仲がいいだけで、特に深い意味はない。
まあ、わたしも年頃の女の子だから意識したりしなかったりするけど、その、友達と一緒に登校するのは楽しいなあっていう感じで、
「本当に深い意味はないよ?何と無く、だから、うん」
「何をぶつぶつ言ってるんだ?」
「え、あ、声出てた!?いや、えっと気にしないで!」
「顔赤いぞ」
「ええ!!あ、いや、これはその」
「嘘。赤くない」
「へ?はああ!?からかわないでよ!」
「いや、お前おもしろいから」
「おもしろいってどこが?」
「全部」
「全部!?」
軽口を叩き合う、今のこの距離感が一番楽しいから。
しばらくこのままでいいやと思う。
そんな毎朝のこと。
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オマケ
「そう言えばさ、なんでこんな早く学校に来るの?」
「……別に何も」
「その微妙な間は?まさか何か理由あるの!?」
「無い」
「そんなわけないでしょ!ねえねえ、教えてよ」
「本当に何も無い」
「またまた〜」
「……ならそっちは?」
「え?」
「早く来る理由」
「…………あ〜、ごめんなさい」
「ん」
※わたしは小泉には勝てません。
読んでいただきありがとうございます。
この話は、私が前に投稿した「Happy Halloween!」という話と同じ登場人物を使ってます。
少しキャラが変わっているかもしれませんが、良ければそちらもどうぞ。
何かありましたら教えてください。