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回想編 前編 (美結主観)

「ねーねー真矢」


「どうしたの美結?」


「私と出会った日のこと覚えてる?」


「……覚えてないよ」


「何今の間!?」


「絶対覚えてるでしょ!!」


「覚えてない」


「もー!」


「悪い子にはこうしちゃうぞ!」


と言って私は真矢の頭をぐりぐりする


「痛い痛い!!」


「美結痛いよ!!」


真矢は声を荒げてそう言った


「じゃあ正直に言いなさい!」


「覚えてます!」


「ごめんなさい!」


「最初からそういえばいいのに」


「……うっ」


「ちょっとまた泣いてんの!?」


「別に泣いてないもん……」


「あーわかったわかった!」


「ごめんねごめんね!」


そう言って私は真矢を抱きしめる


真矢は普段はクールぶってるけど、親しい人の前では涙を見せるところがまた可愛い


私は真矢が泣いた時には、決まって抱きしめる


「真矢は体も心もあの頃から変わってないね」


「体は大きくなったもん」


「そうだね」


「幼稚園児から小学生くらいにはなったのかな?」


そう言いながら私は、真矢と初めて出会った日のことを思い出していた




あれは6年ほど前


私は両親の仕事の都合でこの地へ引っ越してきた


もともと転勤族の両親のため、転校は何度も経験していた


でもその度に、私はせっかくできた友達とお別れすることになる


その悲しさを味わうのが嫌だった


だから私は、いつの間にか友達をつくらなくなっていた


どうせ友達になれたとしてもまたすぐに転校してしまう


なら友達なんか作らないほうがいい


この地に引っ越してきた時にももちろん同じ考えで


私は友達を1人も作ることなく、面白みのない生活を続けていた


そんな時にある出来事が起こる


その出来事が、私にとって一つの転機となる

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