第27話 困惑の中
「春の訪れを感じる……」
正直驚きと言うよりは疑問の方が大きかった
多分僕を驚かせようとしてしたことなんだと思う
生徒会長だったのは今この場で初めて知った
「西崎先輩かわいいよね」
「憧れるよね!」
「さすが満場一致の生徒会長だね!」
どうやら僕以外は香奈お姉ちゃんが生徒会長だと知っていたらしい
それにしてもすごい人気
改めて僕の姉は偉大な人なんだなと思い知らされる
「改めまして、ご入学おめでとうございます」
香奈お姉ちゃんががそう言いお辞儀をすると体育館中に拍手が巻き起こった
一瞬香奈お姉ちゃんが僕の方を見たような気がしたが、いくらなんでもこの大観衆の中で僕を見つけるのは不可能であろう
その後、入学式が終わり、教室に戻った僕らは、担任の話を聞いていた
僕らの担任は、今年初めてクラスを受け持つことになった神田美丘先生
まだ大学を卒業して間もない25歳の先生だった
俗に言えば、当たりの先生
男子のほとんどが神田先生の初々しさの虜になっていた
「真矢帰ろー!」
「うん、いいよ」
「友哉は?」
「初日から部活の練習に参加するんだって!」
友哉みたいな、特待生の中でも更に優秀な生徒は1年目から主力として活躍するために、他の生徒より早めに練習に参加するらしい
「すごいよねー友哉」
「私は1年の間に無理かな?」
「美結なら大丈夫だよ」
「僕より上手だもん」
「こんなかわいくて小さな子に負けるわけないでしょー」
そう言うと美結は僕の頭を撫でる
僕は少し顔を赤らめた
「あー顔赤くなってる!!」
「可愛いなあーもう!」
「美結……他の人が見てるから……」
「見てなかったらいいの?」
「そういうわけじゃないけど……」
「とにかく帰ろー!」
美結に言い負かされた感じがしながらも、僕たちは教室を後にした




