第26話 入学式
とうとうやってきた
この日がやってきた
とうとうこの日か
緊張するなー
「お兄ちゃんがんばって!」
「ありがと大我」
今日はいつもと違ってお姉ちゃんがいない
何か学校で用事があるらしい
「はぁ……」
「しんくんお姉ちゃんいないと不安?」
「え?そんなことないよ……」
お母さんが僕にそう話しかける
正直不安だった
今まで入試の時も結果見に行く時もずっとお姉ちゃんがいたから
あんなお姉ちゃんでも
いざいないとなると
寂しいな
「ん?」
ふとテーブルを見ると1枚の紙が置いてあった
「なんか香奈がそれしんくんに読ませといてって言ってたよー」
「お姉ちゃんが僕に?」
しんくんへ
お姉ちゃん先学校行っちゃうけど
しんくんお姉ちゃんがいないからって泣いて学校行かないとか言ったらダメだよ!
じゃあお姉ちゃん先に学校で待ってるね!
「ははは……
さすがお姉ちゃん」
「しんくんそろそろ時間よー!」
「わかってる
じゃあ言ってくるねー」
「はーい!」
校門の前では様々な方法で進学してきた生徒で溢れかえっていた
スポーツの推薦で入った生徒
文科系の推薦で入った生徒
勉強の推薦で入った生徒
お金を積んだ生徒
そして僕みたいに一般の受験で入った生徒
そしてこんな声も聞こえてきた
「3年の香奈先輩って知ってるか?」
「あぁ知ってる知ってる!
すごい可愛くて綺麗な先輩だろ?」
「俺あの人がいるからこの高校進学決めたんだ!」
「何でも今年はその弟が入学してくるらしいぜ」
「えっ?まじでっ!?俺仲良くなっちゃおー!」
「……」
こういうのは中学時代から慣れてる
中学校の時もお姉ちゃん目的で僕に近づいて来る人は何人もいたし
僕=お姉ちゃんに近づくための道具なんだよ
「おいおいどうしたんだよそんなに悲しい表情して!」
「真矢には私達がいるでしょ?
そんなしょんぼりした顔しないの!
気にしない気にしない!」
友哉に美結……
2人とも一般的に見ればリア充と呼ばれる部類なのにいっつも僕なんかと行動してくれて
本当にいい友達……
「それより早く教室行こうぜ!
入学式始まるぜ!」
「え?
でもまだ教室チェックしてないし……」
「真矢も友哉も私もみんな一緒のクラスだったよ!
また1年間よろしくお願いします!」
「そうだったんだ……
よかった……」
「そんな嬉しそうな顔しちゃってー!
そんな私と一緒のクラスが嬉しかった?」
「そ、そんなんじゃないよ……
は、はやく行こ!」
「照れちゃってる
可愛い!」
「おい美結も行くぞ!」
「はぁーい!」
教室に行くと
まず先生から入学式についての説明があり
その後クラス毎に順番に体育館に入場した
入学式は先輩は来ていないらしく、1年生の生徒400人で体育館は埋まっていた
ん?
じゃあ何でお姉ちゃんは学校に?
「それでは、生徒会長挨拶
3年1組、西崎香奈」
え?
まさか……
生徒会長??
なんと壇上に現れたのは……
「みなさんこんにちは
生徒会長の西崎香奈です
この度はご入学、誠におめでとうございます」
香奈お姉ちゃんだった……




