第22話 お父さん登場
「しんくん合格おめでとー!!」
「お兄ちゃんおめでとう!」
ぱぁーん!!
あの日と同じようにクラッカーの音が響く
でも今はあの時とは違う
気分が違うと同じクラッカーの音でも全く違うように聞こえる
そう思った僕だった
「真矢本当におめでとう!
今日は真矢の好きなクリームシチューにしたわよ!」
そう言ってお母さんがクリームシチューを持ってくる
僕はクリームシチューが大好きだ
その中でもお母さんのクリームシチューはまた格別である
どのような味付けをしているのかは知らないが
程よい甘みの中にこくがあり
すごくおいしい
「今日はお祝いにお姉ちゃんの膝の上でまんま食べよっか!?」
「大丈夫」
「じゃああーんしてあげる!」
「大丈夫」
そう言ってお姉ちゃんの要求をことごとく断り続ける
「しんくんのばぁーか……」
お姉ちゃんが拗ねたように言う
お姉ちゃんは相変わらず可愛い
僕より子供っぽくも見えるが
いざという時はしっかりお姉ちゃんになってくれる
そこがすごいと改めて思う
「今日は美貴お姉ちゃんこないのぉ?」
「今日は美貴こないよー
ごめんね大我」
「美貴お姉ちゃんもきたらいいのにぃ!」
どれだけ美貴さんになついてるんだお前は……
それに今日美貴さんが来ないのにはれっきとした理由がある
「今日はお父さん帰ってくるもんね!」
「わぁーい!!パパ帰ってくるんだぁー!!」
そう
今日はお父さんが帰ってくる
僕らのお父さんは被災地域や紛争地域でボランティア活動を行う団体のリーダーをしている
収入的な面で言えば無給だし、バカにされても仕方が無い
でも僕はお父さんを尊敬している
一円も受け取らないで仕事ができるお父さんはすごいと思う
「ただいま!」
「あ!ぱぱだぁー!!
ぱぱー!!!!」
「おぉー大我!
元気にしてたかー?」
「うん!!」
この人が僕らのお父さんの西崎大智
大我の大はここから来ている
うちのおじいちゃんとおばあちゃんは学歴がなく苦労したそうだから、お父さんにちゃんと勉強して立派になって欲しいということで、大きいという字に知恵を意味する智という字で大智になった
お父さんはおじいちゃんとおばあちゃんの願い通り、しっかり大学も卒業した
その後無給になるとはおじいちゃんとおばあちゃんも思っていなかったと思うけど……
「香奈も美人になったなぁ
しばらく見ないうちにすっかり大人になったなぁ!」
「そんなことないよぉ〜!」
「そして真矢!
合格おめでとう!」
「ありがと!」
「これでお前と俺も、父親と息子だけじゃなく、先輩後輩だな!」
お父さんは銘城出身
僕らの先輩だ
「それにしても真矢……」
「え?」
「お前相変わらず小さいなぁ……
下の毛生えたのか!?」
「……」
どうせまだ生えてませんよ……
「お父さん!!
しんくんはいつまでも子供なの!!」
「あーそうだったな!
ごめんな香奈!」
お父さんはお姉ちゃんの性格を熟知しているのか
とっさに言いくるめた
そして、何気ない会話をしながら食事が済んだ
「パパあそぼぉーよぉー……」
「おーそうだな!
大我と遊ぶ約束だったもんな!」
「あっちいこぉー!!」
そう言って大我とお父さんはテーブルから離れる
「今日はパパとママと寝るー!!」
うちの両親の寝室はダブルベッド
いつもはお母さんだけが寝てるベッドだ
「おぉー、大我とママと寝るの久しぶりだなぁー!」
「じゃあしんくんはお姉ちゃんと一緒にねんねしよっか!」
「寝ないよ...」
「この前はお姉ちゃんの膝の上でおねんねしちゃったくせにぃ〜」
「ん?真矢まだ香奈に抱っこしてもらってるのかー?」
余計な方向に話がいってしまった
話を変えなければ
「お、お姉ちゃん!!
上でゲームしようよ!!」
「おぉー
しんくんお姉ちゃんとゲームしたいのかぁ〜
いいよいいよ!」
そう言って僕たちは上の部屋に行き僕の部屋で桃鉄をする
「しんくんとなら100万年モードでもずっとしていたいなぁー」
何時間かかるんだよ……
「……20年でいいでしょ?」
「いいよぉー!!」
案の定というか
そのあと僕がぼろ負けしたのは言うまでもない
お久しぶりです!
最近忙しくて本当にすいません
なるべく昔のペース通り投稿できるようにしますから
みなさんぜひ読んでください!
いつも読んでいただきありがとうございます
これからもよろしくお願いします




