第四話
つかさ~!早く起きなさい、もう八時よっ。
「母さん、ここに置いてあった時計しらね?」
五分前に母親の一喝で起きだした少年、如月司。先日、5月25日の誕生日で18歳になった和泉原高校の三年生だ。
学校ではクールなキャラで全校生のアイドル的な存在である司だが、実はただの面倒くさがりな寝坊助さんである。そんな司は今、遅刻の危機に見舞われつつお気に入りの腕時計を探している。
「そんなもの誰も触りません!携帯持って行くんでしょう?だったら時間見れるしいいじゃない。それより早く学校に行きなさい。PC使用禁止にするわよっ。」
――――ついでに言うとPC中毒者である。携帯でもできるが画面が大きい方がいいのだ!・・・とは司の説である。
「分かったって。PC禁止はやめてくれよ!」
説教を聞きながら鬱陶しそうに腕時計を探していた司は母のPC禁止という鶴の一声で急いで玄関に向かったのだった。
行ってきまーす!
・・・これが親子の最後の会話だった。
キーッ!ガシャン
――――司は居眠り運転のトラックに突っ込まれて、一瞬にして肉塊に変わったのだ。
「ん・・・?ここは何処だ――――。」
ドンドンパフパフー!
高らかにファンファーレが鳴り響き、厳かな声が音を紡ぎ始めた。何というかミスマッチであるが・・・。
〈目が覚めましたか?突然ですが此処は次元の間です。〉
謎の声は間に静かに響いた。
「俺は何で此処にいるんだ?たしか・・・・。」
〈・・・・。〉
司は謎の声を自然に、超自然にスルーした。そのあまりのスルーっぷりに謎の声が唖然としてしまう程に。正にこれこそ真の想定外である。
「そうだ。俺はバ、・・・母さんに家を追い出されて――――。」
〈・・・・。〉
段々司の顔色が悪くなってきた。―――謎の声の沈黙の威圧も強くなってきた―――
そして司は思い詰めた様に口走った。
「・・・・俺は、俺はトラックに突っ込まれて――――死んだ。」
〈・・・・。〉
「死んだ」と言ったあたりからはこの世の終わり、いや人生は終わっているが、そんな顔で膝をつき崩れ落ちた。―――謎の声の沈黙の威圧も最高潮である―――
―――よく見たら〝演じている〟自分に酔っていた。これには謎の声も呆然・唖然である。実に残念な奴であった、司は。
そんな司を謎の声が沈黙の威圧改め“残念な奴だな、コレ”的な憐みオーラで見た。
その瞬間司はバッと雰囲気を切り替え声の主の居場所を探り始めたのだ。
〈は・・・?〉
そう、司は事実謎の声が聞こえていなかったのだ。
なぜなら普通|(?)は次元の間に入る時に、人間の無限の可能性を引き出す為に神々が造った枷が自動的に壊れてしまう。それを神もする事が減ると容認していた。
しかし司の枷は次元を超える程度では壊れないほど強固なモノだったのだ。
流石の謎の声改め神も、この非常事態には困惑しているようだった。
結局神様の声が聞こえない事件は、他の神々も出張って解決したのだった。
ようするに司に掛けられていた枷が数柱の神々の力でやっと外せた=司本来の力がとても強いという事である。
何せ神の享楽で行っている『神様の!力が強いランキング』でBEST5入りしている神々でやっと外せたという感じだったのだ。
余りにも大きな力に神界は上へ下への大騒ぎ。流石に謎の声も本来の力を解放せざるおえなくなった。
”蒼庭”創造神代行管理者『埜楼都』の力を―――――
カメ並みの更新ですが、最後まで(?)よろしくお願いします。