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1月9日


◆今日の花…パンジー


◆花言葉……物思い



東宮陽依。

東宮家の長女であり一人娘。

彼女は最近、おかしい。



「はあ……」



明らかにおかしい。

窓の外をボーっと見ているかと思えば、ため息。

かれこれ1時間、この状態が続いている。


昨日なんか、私がいるにもかかわらず着替えを始めようとしていた。

もちろん慌てて止めた。

嫁入り前の柔肌を男の前に晒すなんて絶対ダメだ。


何かあったのだろうか?

しかし、私は特に何も聞いていない。



「陽依さま? ひーよーりーさーまー?」



いつもなら鬱陶しいとかで怒られるのに、無反応。

頬杖をついたまま呆けている。

そしてため息。



まさか………!



「陽依さま! お相手は誰なんです! 私の知っている方なんですか!?」



「………はぁ?」



やっと返ってきた反応に胸をなでおろす。



「陽依さま、恋わずらいでしょう?」



私の質問に、陽依さまは怪訝そうな顔をする。


そして



「ばかじゃないの? 誰が恋わずらいよ。ばかじゃないの?」



2回も『ばかじゃないの?』と言われたが、漸く聞けた罵倒になぜか安心する。

あ、私は決してマゾヒストではありませんよ。



「ですが、最近物思いに耽っていると言うか、ため息多いですよ?」

「ちょっと考え事よ。慧には関係ないわ。犬は黙ってなさい」

「陽依さま、犬とはなんですか。私は人間ですけれど?」

「はあ、いいわ。部屋にいるから来ないでね。来たら去勢」



女子らしからぬ言葉を吐き、陽依さまは部屋に戻る。

何か悩み事があるなら言えばいいのに……。




「はあ……」




**********




「はぁ……」



一方部屋に戻ったあたしはベッドのそばにあるソファに座り、ため息。

ここ最近、慧の様子がおかしい。

どうおかしいかと聞かれたら、答えられないのだが。

何かおかしい。


もしかして、あたしのお守りに疲れたのではないだろうか。

もともと無理やりこの屋敷につれてきたのだし、その上教養やら何やらを仕込まれ不満が溜まっていたのかもしれない。

それか、あたしの悪態に愛想をつかせたのかもしれない。



「慧が悪いのよ……」



あたしだって無闇に悪態をつくわけではない。

慧に見つめられると、妙に恥ずかしくなってつい『バカ』だの『犬』だの言ってしまう。

いつか、慧もここを出て行くときが来る。

一生あたしに付き添うわけがない。

いつか、可愛いお嫁さんとか貰って出て行くに違いない。


そんなことを考えると、ますます悪態が……。


自分が自分で嫌になる。

そのため息なのに、慧ったら変な勘違いして……。


様子がおかしいのは、あんたでしょ!



「はぁ……」



ため息をつくと幸せが逃げるらしいけど、幸せの前に慧が逃げてしまいそうだわ。

明日には、何があったのか慧に聞いてみよう。

うん、そうしよう。






またもやこのコンビ。

書きやすい^^

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