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1月5日


◆今日の花……ミスミソウ


◆花言葉………信頼、自信

1月5日 ミスミソウ 信頼




「ねえ」



俺が顔を上げるとそこには、綺麗な黒髪のガキが立っていた。

つか、なんでこんなところにガキがいるんだ。

歓楽街だぞ、ここ。

風俗嬢にも見えねえし。



「なんだよ、てめぇ。ガキは帰って寝てろや」



俺の威嚇にもガキは動じず、相変わらず立っている。

表情ひとつ変えずに仁王立ちをしている。

クソガキが………。



「おい! 聞いてんのか!」



イラっとして声を荒げても表情ひとつ崩さない。

なんなんだ、このガキ。

イライラする。



「あなた、野良なの?」



もう一度怒鳴ろうと口を開いたが、声を出す前にガキが言った。

つか、野良?



「……はあ? どういう意味だよ」

「はっ、野良の意味もわからないの?」



く、くそ。

ガキに鼻で笑われた。

どうせ俺は中卒で学もねぇよ!



「てめぇ………」

「野良なら、あたしが拾ってあげてもいいわよ」

「は?」



拾うってことは、野良猫とかの野良なのか?

ちょいまて、拾うって言ったよなコイツ。

もしかして



「チョイ待てガキ。俺を拾うってことか?」



俺の間抜けな質問に、ガキは腕を組みビルの壁に寄りかかる。



「だからそう言ってんでしょ、あんたバカでしょ」

「バカで悪かったな、クソガキ! 大体こんなところにエリートがいるのか、あぁ?」

「まあ、そうね。とりあえず拾ってあげるから行くわよ。向こうに車を待たせてあるから」



ガキはそういうと、指をパチンと鳴らした。



「うぉ!?」



驚くまもなく、俺はどこからかやってきた黒服の男に担がれる。

抵抗してもビクともしねえ。



「おいこら! 離せ! おろせ!」

「抵抗しても無駄よ、桂木は現代の本多忠勝だから」

「誰だよ! 本多なんとかって!」



そのまま路地に止められた黒塗りのベンツに放りこまれる。

ガキの言葉通り、抵抗しても疲れるだけだった……。



「あたしガキじゃないから。陽依だから、よろしくねポチ」



疲れきった俺を見てガキが言う。



「……ポチじゃねぇ、慧だ」

「そう、改めてよろしく慧」



そうして俺はガキの家に連行された。

そこには、ガキの父親らしい中年のオヤジと俺を運んだやつではない黒服が数人いた。

オヤジから、将来を約束されその代わり、ガキ……陽依の世話役に任命された。

ま、あそこでのたれ死ぬよりマシか。





*******************





「慧」



陽依さまの声で意識がこちらに戻ってくる。



「………陽依さま。どうかされましたか?」

「どうかされましたか、じゃないわよ。あなた誰のソファで寝てるのかしら」



言われて周りを見ると、陽依さまの部屋のベッドの横にあるウン十万円のチェアに座っている。

どうやら、陽依さまが寝ているか確認に来て、寝てしまったようだ。



「すみません」

「別にいいけどね。疲れてるんでしょ」

「陽依さまの寝顔を見ていたら、眠くなっただけですよ」



笑顔で言ってのけると、陽依さまの鉄拳が飛んできた。

それをひょろりと交わし、腕を掴む。



「残念でした。さ、お眠りになってください。私は下がりますので」

「ちっ」

「舌打ち」

「んんっ、じゃおやすみ、慧」

「はい、おやすみなさい、陽依さま」



挨拶をし部屋を出る。

あれから5年。

陽依さまは18歳、私は22歳になった。

言葉遣いや行動、ここまでくるまで大変だったが、陽依さまがいなかったら今の私はいないと思う。

私の主は、旦那様ではない。

まだまだ小さくて、可愛い陽依さまだ。


今の私にとって、陽依さまは信頼に足る人物だ。

陽依さまが、私の全て。

いつかきっと、素敵な男性を見つけ嫁いでいくまで……、ずっと陽依さまについていく。







1月1日のコンビのお話でした^^

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