シャンプーが目に沁みてしまった人の話
シャカシャカ
あれ……流すやつがないな。
どこだろ? でも目を開けて沁みるのも嫌だしなぁ……片目だけなら開けても、まぁ大丈夫でしょ!!
「どこだ?」
シミィ
「痛い……痛い痛い!! 目に、目に沁みる!!」
ガシッ
「あった!!」
ジャ〜
「ふぅ、これで一安心……あとは肩まで浸かってっと」
「あのぉ私も入ってもいいんでしょうか?」
「良いよ良いよちょっと狭いかもだけど」
「ほんと気持ちいいね」
「ですねぇ、こうすると疲れがとれますよ」
「ねぇ、二人とも……私が痛がったことはスルーなの? 心配ぐらいしてもいいんじゃないの?」
「……え、心配どうして? あなたはついさっきこの肉体に憑依しただけでしょ、まあ私たちもそうだから何も言えないってのもあるけど」
「ほんとそうだぞ、私だって久しぶりの肉体だってのに、あんたが目にシャンプー沁みさせるから……使いずらいんだぞ」
コンコン
「ねえお姉ちゃん、まだ入ってるの? というか……そこにいるのは誰なの? お姉ちゃんじゃないよね」
「あの人"分かる人"っぽいけど、どうする?」
「ここは素直に出た方がいいんじゃない? あとで呼ばれても困るし」
「だねだね、それじゃあまたどこかで!!」
「…………んんっ、あれ私……なんでお風呂入ってんの!? つーか一時間前にも入ったよね、なんでかな…………まっ深く考えても分かんないもんは分かんないよね、うん」
ガラガラ
「よかった、お姉ちゃんだ!!」
「どったの紗夜そんな焦って」
「ううん、なんでもない。ねえねえ、お姉ちゃん、お姉ちゃんがお風呂から出たらでいいんだけどお守り買いに行かない?」
「お守りかぁ、いいねそれ!! もうすぐ私も紗夜も受験だしなぁ……私のは紗夜が選んでね、そんで紗夜のは私が選ぶからさ」
「……私もそうしようと思ってたの、私たち考えることも一緒だね、嬉しいよお姉ちゃん」
「……ねえ、紗夜気になってたんだけどさ、なんで紗夜は服着たままお湯に浸かってるわけ!?」
「…………あっ、まっ、まあ洗濯……すれば問題ない……でしょ、お姉ちゃん?」
「そうだけど……まさか忘れてないよね、昨日紗夜の服全部洗濯したの」
「…………わっ、ワスレルワケナイデショ」
「紗夜が忘れてるのは分かった。まあ過ぎたことを気にしてもあれだし、私の服で良ければ着る?」
「着る着る着る絶対着る!!!!」
「いつもながらほんと私のこと好き過ぎでしょ……まあそんなとこも可愛いんだがなこのこの」
「あっはははは、もうくすぐらないでよ」
「あははごめんごめん相変わらず紗夜は可愛いなと思ってさ、イタズラしたくなっちゃったの」
「はっ、早く買いに行こ」
「はいはい、それじゃあ出るからちょっと避けてくれない?」
「……ごっ、ごめんすぐ避けるね」
「そんな謝らなくていいから」
ザバァン
「いつもありがとね紗夜」
「私こそありがとうお姉ちゃん」
「先に出てるから……ドライヤーは私に任せてね、紗夜」
「うん!!」
お姉ちゃんがお風呂から出るとさっきの三人が『尊い姉妹愛だ!!』そう言ってるのが聞こえてきた。
私は嬉しくなったが返事はしなかった。
そして私とお姉ちゃんはお守りを買いに行ったのだった。
おしまい
見つけて読んでいただきありがとうございます!!
お風呂で頭を洗っている時に思いつきました