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前口上

 人間はどいつもこいつも阿呆(あほう)である。

 人間界の観察という天使の仕事をする中で、唯一得た確からしい知見がこれであった。八割方の人間は阿呆であり、残りは底抜けの阿呆である。渡る世間には阿呆しかいない。見渡す限り阿呆塗れで、歩けど歩けど阿呆に当たる。

 表現は何でも構わぬ。阿呆しかいないという文意が伝わっていればそれで良い。

 これを読んで、読者諸氏はどう思われたか。恐らく次のように思ったはずである。「なるほど、確かにそうかもしれない。けれど、私は違う」と。やはり阿呆である。人とはどうしようもなく阿呆だ。何故「自分は阿呆じゃない」と胡座をかける。全員が全員「自分は阿呆では無いのだ」と考えている状況――これを阿呆と言わずして何と言う。

 が、誤解しないで欲しいが、ボクは阿呆を否定してはいない。寧ろ素晴らしきことだと思う。阿呆ほど愛いものは無い。実際、阿呆みたいな発想が世界を覆すことだってある。阿呆は、あらゆる原動力たり得る。

 阿呆万歳! 阿呆万歳! 阿呆に万雷の喝采を!!

 人とは愛すべき阿呆である。恥ずかしげもなく、己らを「霊長類」などと称してしまうような阿呆である。歴史に学ばず、何度も同じ過ちを繰り返す阿呆である。大して死ぬ気も無い癖に、「死にたい」と口にするような阿呆である。出席点が大半を占める講義ばかりを履修した挙げ句、結局サボりがちになって単位を落とすような阿呆である。

 そして、ボクを一人称だけで「男性」と判断してしまうような阿呆である。


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