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グール、あるいは屍食いについて

 この世界の常識は私の知る物とは全く異なる。質量の保存もエネルギーの流れも無視した、あるいは無視したかに見える法則がまかり通る。


 世界の構成元素すら私の知るものではないのかもしれない。


 そんな世界でも、「適者生存」の概念は揺らがないはずだ。



 ああ、だがこの生物たちは一体何なのだ。



 まるで人を苦しめるためにデザインされているようだ。


 まるで神以外のデザイナーがいるかのようだ。



 あるいは、だからこそ。



 彼らが何なのかを考察することで、元いた世界の生命の起源にもたどり着けるのではないだろうか。


 もっともそれを持ち帰る手段はないが。



 <グール、あるいは屍食いについて>


 グール。無毛または薄毛の灰~緑がかった皮膚とナイフの様な長い爪と異様に長い舌を持つ醜悪な外見の怪物。


 屍食いは正確にはアンデッドではない。こう言い切ってしまうにはまずアンデットとは何かを定義しなくてはならないが、それは別項に譲ることにする。


 グールはダンジョンを覗けば墓場などで目撃されるが、哀れな死者の成れの果てではなく、死体を食べる習性を持った「生き物」である。


 教会では不浄の存在とされるため、聖水や聖属性の魔法は有効だが、炎に関しては通常の生物と同等の効果しか得られないので注意されたい。


 ゾンビ(或いはゾンビを作り出す虫)にとって、屍を喰らう彼らは天敵である。


 ※虫に関しては別項。


 ただ、グールとゾンビが天敵同士であることは我々にとってさほど利益にはならない。寧ろ厄介ごとの種がふえることになる。


 死体を喰らうという性質から、グールの爪や牙には虫やその卵が付着しており、この生物本来の危険さに加えてゾンビ化の危険も孕んでいる。グールがアンデットと勘違いされるケースが多いのはグールによって殺されたものが後にゾンビとして動き出すケースがあったためかもしれない。彼らとの戦闘で傷を負った際は教会で適切な処置を施して貰う事をお勧めする


 彼らは死肉を好む。だが同時に獲物として人間を襲う。爪には神経性の毒があり、体内に入れば即座に体の自由が奪われる。効果は長いものではないが、グールの目の前で見動きが取れなくなった者にとってそれは慰めにはならないだろう。


 何度も麻痺毒を注入され、生きたまま腐敗していく内臓を貪られる事になる。


 彼らには何度も同じ死体の元に戻ってそれを再び食べるという習性がある。死後にバラバラに切り刻まれた死体を発見したら、そこはグールの餌場である可能性が高い。十分に注意されたい。



 彼らは何故、死者の肉を好むのだろうか?




 これについて一つ、大胆な推論を立ててみた。


 彼らが食べているのは「死肉」ではないのではないかという物だ。


 あの長い爪と長い舌。あれと同じ特徴を持つ生物を私は知っている。


 元の世界でアリクイと呼ばれていた生き物だ。



 グールが哀れな犠牲者の腹を裂き、その中にその長い舌を出し入れしている見たことがある。


 これを見たときに私の脳裏に浮かんだのが、彼らが食べているのは腐肉ではなく、「虫」ではないか、と言うものだ。


 もしかすると彼等は真に「虫」の天敵なのではなだろうか?


 先述の通り、彼らの爪には「虫」のタマゴが付着している。これを冒険者の体内に付着させ、増やし虫を食べているのではないか。


 おぞましい推論ではあるが、同時に一つの光明をもたらしてくれる。


 ダンジョン内で稀にゾンビ化した鼠等の小動物を見かけることがある。だがゾンビ化したグールというのは聞いたことがない。彼らグールは虫に対して何らかの免疫、或いは似たを機構を備えている可能性がある。


 だとすればインセクト·インパクトにおいては彼らの存在は希望となるかもしれない。


 勿論推論(妄想というべきか?)に過ぎず、またそうであったとして彼らの体から抗体を取り出すというのは技術的に困難を極めるだろう。


 だがそれ以上に大きな問題がある。


 教会が「不浄」とした怪物を体内に取り入れる事を、この世界の人々は受け入れられるだろうか?


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