盗賊討伐
あれからさらに30分程度歩いて森を抜けた先で俺はついに目的にしていた物を見つけた。そう、ついに第一村人を発見したのだ!
「ヒャハッー!」
「ヒャハッー!」
「ヒャハッー!」
生い茂る木々を抜けた先には何だか凄いテンションの高い盗賊と襲われている商人らしき人物とその護衛だと思われる人達がいた。
「ヒャハッー!」
「くそっ!」
「ヒャハッー!」
どうも護衛らしき人たちは半分以上が盗賊に倒されたみたいで苦戦を強いられているようだ。
にしてもあの盗賊たちテンション高いな。まぁ、この状況で力を貸すのは商人陣営の方なんだけど。
俺が人を探しているのは現地人からこの世界の情報が欲しいというのと、取り敢えず街に行ってみたいというのがあるからだ。まぁ、人のいない森でずっと暮らすのは嫌だというのもあるが。
転移直後に何故かスキルの説明は頭の中に直接入ってきたが、この世界の知識にはついては何も知らない。その為にも商人から話を聞きたいし街にも行きたいところだ。
さらに言うならいい加減ベッドの上で寝たいし、スキルにも影響するから自家発電もしたい。別に俺がどうしてもしたいのではなくて、強くなる為に仕方なくやるだけだ。
というか、そうでなくとも来たばっかりの異世界で盗賊側に加担して犯罪者にはなりたくない。そもそもあの盗賊側について行ってもめぼしい情報は得られなそうだし、そもそも信用する事もできない。
まぁ、あの商人たちが信用できるのかも分からないが。情報が分からない以上は取り敢えず商人たちの方に着くのが良いだろう。助けたお礼に融通してくれるかもしれないし。
とはいえ遠目から見ても敵は20人以上いそうだしどうするか?正直なところレーザービームはそこまで広範囲に出せないからまとめて倒すことは出来ない。
ついでに護衛の人たちも巻き込んでしまう。もっと言うならこの世界に来て最初の近接戦闘であの人数を相手にするというのも面倒臭い。
最初はレーザービームを試した時みたいに一対一でバトルをしたかったんだけどなぁ。こんな事ならゴブリンと接近戦の練習しておけば良かったか。
まぁ、しょうがないけど近づいてぶん殴って一気に倒しちゃいますか。正直言動がなんか弱そうだし行けるでしょ。
というわけで身体強化(極)を存分に使ったダッシュで盗賊達に近づいて行く。
「ヒャハッー?」
流石に勢いよく自分達に向かってくる存在に気付いているらしい盗賊の1人が鳴き声?をあげている。
俺はそれの鳴き声を無視して走るスピードを加速させて行く。そのまま盗賊達に突っ込むと向こうからも5人が迎撃に出てくるがそれを相手が反応できないスピードで5人全員に攻撃を与える事で対処する。
そのままの勢いで盗賊達が呆然としている間に商人達がいる方へジャンプする。そこから商人達を守るような立ち位置にたった俺は腕を回しながらレーザービームを敵全体に放ち倒す事に成功した。
一瞬で盗賊達を倒した俺に対して商人らしき人物が驚いたような表情でこちらを見ていた。