戦場
「立ちはだかるオークを倒しながら一直線にオークキングを狙いに行かない?」
大量発生したオークとその王様であるオークキング。取り敢えず俺とアリシアもこの戦いに参加する事にしたが、どういう方針で行くのかは決めてない。オークを狩ることに専念するのかキングという大将首を狙うのか。
「それ、良いわね」
「じゃあ、俺とアリシアでラスボスを一緒に倒そう!」
「えぇ、やりましょう」
やっぱり狙うなら大将首だよね!
「魔法を撃て!!」
どうやら先にオーク討伐に向かっていた冒険者達が魔法を放っているようだ。ただ、俺のレーザービームやアリシアの水魔法のようにオークを一撃で倒せるような魔法を使える人間は少なそうだ。使えても大技ほど魔力の減りが早いだろうし、そうなると魔力が枯渇して魔法では戦えなくなる。
そういう意味ではレーザービームは魔力を使わずに攻撃出来るから便利だ。ただ、せっかくの異世界転移なんだし、将来的には魔法も覚えていく予定だ。
そして、よく見ると後方では負傷者が座り込んだり横たわったりしている。負傷者の数もそこそこ出ているようで、全体的に皆んな険しい表情をしている。
「撃て!スイッチ!」
冒険者が放った魔法を耐え抜いて突進してくるオークには前衛が上手く対応したりしている。しかし、冒険者達の方がジリ貧で分が悪い気がする。何よりオークの数は50どころでは無く100体ぐらいは居る気がする。
さらに遠目からでもオークキングらしき存在感のあるモンスターを発見できる。あれが中々のプレッシャーをかけているのも冒険者達に険しい顔をさせる要因の1つだろう。
でも、ちゃんと今回のターゲットが居て良かった。オークキングを倒しに来てオークしかいなかったら拍子抜けも良いところだからね。
それじゃあ動きますか。
「じゃあ、アリシア作戦通りにお願い」
「えぇ、分かったわ。」
そう言ってアリシアは集中し始める。おそらく魔力を溜めているのだろう。
「アクアキャノン!!」
アリシアが魔法を放ったと同時に右側にいたオークが20体程消し飛んだ。そして、それと同時に俺は素早くアリシアを背負って空いた道を突っ走る。
今回の作戦は至ってシンプルで、アリシアが強力な魔法でオーク達を消しとばし、そのオークが消えて空いた空間を俺がアリシアを背負って駆け抜け、一気にオークキングまでの道を切り拓くという単純明快なものだ。
そして、現在進行形でアリシアを背負って走っているのだが……
俺の背中にはとても柔らかい物が押しつぶされている感触がある。ありがとうございましす!役得です!
そうして俺は背中から幸せを感じながらオークキングのいる陣地目掛けて走って行った。




