緊急事態
昨日の依頼はアリシアが魔法でオークを倒してくれたので俺は特に何もしていない。お陰様で昨日はそんなに疲れなかったし、アリシアの実力の一端とドヤ顔をする可愛いシーンを見ることが出来て良かった。
そんなアリシアは現在進行形で俺の横でスヤスヤと寝ている。実はまだ2人で同じベッドを使って寝ているのだ。
いや〜、役得ですわ。
結局まだ一緒のベッドで寝ているのだ。昨日の依頼でアリシアもお金を手に入れたが、わざわざ新しく宿を借りて別々に生活するのも勿体無いという事で同じホテルに泊まり2人で寝ている。
これはアリシアからの信頼が上がったという事だろう。まぁ、お金が手に入ったって言ってもそんな大金が手に入ったわけでは無いが。
俺自身は盗賊を捕まえた懸賞金とおっさんから貰ったお金があるが、アリシア自体は昨日の依頼達成で手に入れたお金だけだ。
ただ、昨日の依頼はほぼアリシアの手柄なので半々では無く彼女に譲った。アリシアは少し躊躇ったが貰ってくれた。
まぁ、いくら最初に報酬は半分ずつと約束してても昨日は彼女しか活躍してないからね。報酬を貰うのは気が引ける。
朝食を食べた俺とアリシアはお金を稼ぐ為に今日も冒険者ギルドへ向かう。
何だか今日の冒険者ギルドはいつもより騒がしい気がする。ましてや、今日も俺たちはホテルでゆっくりとくつろいでから来ているので人が多い時間帯では無いのだが……
「何か今日は人が多いわね」
「そうだね、それに何だか全体的に慌ただしい雰囲気だ」
そう、いつもより人が多いだけでは無く雰囲気が慌ただしいのだ。なので、取り敢えず受付に行って聞いてみることにする。
心なしか目の前で仕事をしている受付嬢の子もソワソワしている気がする。
「あのー、何かギルド内が慌ただしいんですけど、何かあったんですか?」
「あ、この前ギルドの決闘でオーグさんに勝利していたユウヤ・ナグモさんじゃ無いですか!」
何故か質問をしたらキラキラした目で名前を呼ばれた。
「それで今日は何か問題でも起きたのかしら?」
「はい、そうなんです!!」
やっぱり何か問題が発生していた様だ。もしかしたら、近頃のオークが街に近い場所にも出現している事と関係あるかもな。
「今朝、依頼を達成する為に出て行った冒険者の方から森の奥にオークが大量発生しているという報告がありまして……」
「他の冒険者の方からも報告がありまして、調査に向かって貰った冒険者達もオークが大量発生していると」
あ、マジでオーク関係あるんだ。それにしても大量発生ってどんぐらいの数がいるんだろう?
「ちなみに、どれぐらいのオークが出現したのかしら?」
「50体以上のオークが出現しているという情報が入っています。しかも、群れを成していることから統率者が居ると考えられます」
「つまり?」
「オークキングがいる可能性が高いです」
オークキング。つまりはオークの王様って事で、ここ最近のオークのおかしな言動とも関係あるんだろう。
もしかしたら、決闘したあのおっさんはやっぱりオークで、オークキングの影響で可笑しくなってたのかも。まぁ、そんな事はどうでも良くて。
俺達がどう動くかだ。オークキングが果たしてどれぐらい強いのか?普通のオークなら俺もアリシアも敵じゃ無いと思うんだけど。
「どうするの?」
アリシアが問いかけてくる。まぁ、自分の力を試したいし、今はこの街の良いホテルに住んでいるんだからオークに襲撃されては堪らない。
「俺達もオークを倒しに向かおう!アリシアもそれでいい?」
「えぇ、もちろん!むしろ私の実力を知る良い機会だわ。それにここで逃げる選択を取っていたら、少しお話をしなくちゃいけなくなるところだったわ」
戦う選択をして良かった!
「それではユウヤさん、アリシアさん!宜しくお願いします!」